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歯医者の治療費踏み倒し防止策!未払い金の回収方法から予防策まで解説

コラム

歯医者を経営する上で、患者さんの治療費の踏み倒しは避けて通れない事項です。​治療費が未払いとなり、踏み倒しに至るケースは、歯医者にとって頭の痛い問題であり、その対応には慎重さと速やかな対応が求められます。

治療費踏み倒しを防ぐためには、未払い金の回収方法とその対策をしっかりと把握しておくことが重要です。本記事では、歯医者における未払いの発生原因を明確にし、効果的な回収方法や法的措置について詳しく解説します。

歯医者における治療費の踏み倒しが発生する主な原因

歯医者における治療費の踏み倒しは、経営上、見過ごすことのできない重大な懸案事項です。

単なる一件の治療費の踏み倒しにとどまらず、それが蓄積することで、歯医者全体のキャッシュフローに深刻な影響を与えます。それどころか、最終的には債権回収という煩雑かつ精神的負担を伴う対応に追われる事態も珍しくありません。

では、こうした治療費の踏み倒しがなぜ発生するのか。その背景を紐解いてみましょう。

患者さんの経済的困難

第一に挙げられるのが、突発的な経済的事情による治療費の踏み倒しです。

急な失業、収入減少、あるいは家計の急変により、当初は支払う意思のあった患者さんでも、結果として治療費の踏み倒しという選択に追い込まれるケースは決して少なくありません。

特に、歯医者の自由診療では高額な治療費が発生することが多く、支払い能力との乖離が顕著に現れやすいものになります。そのため、歯医者側としても事前の説明や分割対応、保証制度などを含めたリスクマネジメントが求められるでしょう。

治療内容や費用の説明不足

次に、治療内容や費用に関する説明の不十分さも、歯医者の治療費踏み倒しを引き起こす原因となり得ます。

歯医者での治療において、患者さんが治療前に十分な説明を受けていないと、治療後に「予想外の請求が来た」と驚き、支払いを躊躇するケースは少なくありません。この問題は、患者さんの不安や不信感を招き、最終的に治療費の踏み倒しにつながることがあります。

これは、歯医者側のコミュニケーション不足に起因する問題であり、未払いを未然に防ぐためにも、治療前の丁寧な説明や書面での事前同意など体制の見直しが重要となります。

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応召義務による治療の強制

加えて、歯科医師が避けて通れないのが、歯科医師法第19条に基づく応召義務の存在※です。

これは、正当な理由なく診療を拒むことが許されないという制度であり、たとえ患者さんの支払い能力に疑義がある場合でも、一定の診療提供が求められます。

特に急患や救急対応においては、患者さんの経済状況を確認する余裕がないまま治療が進行することがあります。しかし、それにより結果的に治療費の未払いへと発展し、最終的に治療費の踏み倒しへ至るリスクが高まります。

参照:歯科医師法|e-Gov 法令検索

歯医者の治療費未払い患者さんへの効果的な回収方法

歯医者における治療費の踏み倒しは、日常診療に潜む静かな経営リスクです。日々の診療行為の積み重ねの中で、「いつか支払ってくれるだろう」という楽観的観測はやがて治療費の踏み倒しへとつながりかねません。

重要なのは、対応のタイミングと手法を誤らず、債権の回収を確実に進めるための制度的・法的リテラシーを持つことです。

以下では、治療費未払い患者さんへの効果的な回収方法について解説します。

初期対応は迅速かつ丁寧な催促から

歯医者での治療費の未払いが発生した場合、その初動対応の巧拙が、債権回収の行方を大きく左右します。

特に治療費の踏み倒しに発展させないためには、初期段階での冷静かつ丁寧なコミュニケーションが何よりも重要です。まずは、電話による支払いリマインドから始めましょう。この時、威圧的な口調や感情的な指摘は厳禁です。

あくまで「確認」という立場を保ちながら、患者さんが忘れているだけなのか、意図的な未払いなのかを見極めることがポイントです。

加えて、メールやSMSなど記録が残る手段も併用することで、後に法的対応が必要になった際の証拠として活用できます。

この段階から、やり取りのすべてを記録として残しておくと良いでしょう。

丁寧かつ誠実な対応の履歴は、後の交渉や法的手続きにおいて歯医者側の正当性を示す有力な材料となります。

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書面による正式な督促

歯医者の治療費未払いが長期化した場合、口頭やメールでの催促では限界があります。そこで有効なのが、内容証明郵便を用いた正式な督促です。

これは、請求の事実を法的に記録として残す手段であり、患者さんに対して明確な債権の存在とその支払い義務を伝えるものとなります。

特筆すべきは、内容証明郵便を送付することで、民法上の時効が一時的に中断される点です。具体的には、請求から6ヶ月間は時効が進行しないため※、治療費の踏み倒しリスクに一定の歯止めをかけることができます。

ただし、この効力が及ぶのは一度限り※であることにも留意が必要です。こうした制度的な知識を押さえておくことは、未払い金の回収方法としての確実性を高める上で非常に重要です。

※参照:民法第150条

専門家への依頼と法的手続きの検討

丁寧な催促にもかかわらず、支払いの意思がまったく見られない、あるいは連絡が取れないという場合には、早急に専門家の介入を検討すべきでしょう。治療費の踏み倒しが現実のものとなった瞬間、歯医者の経営判断が問われます。

最も一般的な手段は、弁護士への依頼です。法的知識に裏打ちされた督促状の送付や、債権回収業務を専門家に任せることで、患者さんに「支払わざるを得ない」という意識を強く促すことができます。

特に、内容証明郵便と合わせて専門家名義で請求を行うことで、「このままでは訴訟に発展するかもしれない」と認識させることができ、治療費の踏み倒しに対する回収率を飛躍的に高めることができるでしょう。

また、請求金額が60万円以下であれば、少額訴訟制度※の活用も視野に入ります。これは簡易裁判所を通じて迅速に債権の有無を争える制度で、時間的・経済的コストを抑えつつ法的拘束力のある判決を得ることができます。

※参照:少額訴訟|裁判所

保険者徴収制度の利用

さらに、見落とされがちですが重要な制度として、保険者徴収制度があります。これは、国民健康保険や社会保険に加入している患者さんが、治療費の負担金一部を未払いした場合に、保険者が代わって徴収を行うことを可能とする制度※です。

歯医者としては、制度に基づいて申請することで、一定額の治療費踏み倒しに対して債権回収が見込めるケースがあります。

歯医者としては、経営的なダメージを最小限に抑えるためにも、積極的に申請し、利用することを検討すべきでしょう。

※参照:国民健康保険法|e-Gov 法令検索

これだけは知っておきたい!未払い金回収時の注意点

治療費の踏み倒しは、歯医者の経営事項において、確実にその負荷を増していく厄介な問題です。適切な回収方法を講じるとともに、以下のポイントを押さえておくことが肝要です。

感情的な言動は厳禁

歯医者での治療費未払いの督促にあたっては、医療者としての冷静さが求められます。

治療費の踏み倒しに関する債権回収の際、感情的な言動や強圧的な態度は、患者さんとの信頼関係を損ねるばかりか、法的トラブルの火種にもなりかねません。

治療費の踏み倒しによる債権回収はあくまで事務的に、かつ丁寧に行うのが鉄則です。

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診療記録・同意書・領収書の徹底保管

歯医者の治療費踏み倒しの請求の際に必要となるのが、治療内容を裏付ける客観的な資料です。診療記録、治療に関する同意書、そして領収書の保管は、治療費の踏み倒しにおける回収方法の正当性を裏付ける根拠となります。

こうした記録が適切に保管されていれば、仮に法的手続きに発展しても歯医者側の正当性を主張しやすく、回収の可能性を高めることができます。

時効に注意!未払い金回収には期限がある

治療費の踏み倒しに関連する未払い金回収時に見落とされがちなのが、「時効」の問題です。歯医者の医療費の債権には法的な消滅時効が定められており、旧民法では3年、新民法では5年が適用※されます。

このため、督促を怠れば治療費の踏み倒しが合法的に成立してしまうことも考えられるでしょう。

時効の進行を防ぐには、内容証明郵便の送付や、患者さんからの債務承認を得ることが極めて有効な手段となります。治療費の踏み倒しが法的に成立しないよう、迅速な対応が必要です。

※参照:民法|e-Gov 法令検索

歯医者での治療費踏み倒しを防ぐ4つの方法

歯医者で発生する治療費の踏み倒し問題は、決して他人事ではなく、実際には多くの歯医者にとって資金繰りや経営に直結する事項の一つです。

治療費の踏み倒しが積もり積もると、歯医者側の資金繰りに大きな影響を及ぼし、債権回収の煩雑さも伴います。こうした事態を未然に防ぐためには、日常診療の中に一定の工夫と仕組みを組み込むことが求められます。

ここでは、歯医者での治療費踏み倒しを防止する4つの方法について、実践的な視点からご紹介いたします。

1.患者情報の徹底的な収集

歯医者の治療費踏み倒しの回収方法として有効なのは、そもそも「連絡が取れる状態」を維持することに尽きます。

初診時における患者情報の取得は、住所・電話番号・メールアドレスを網羅的に収集し、少なくとも年1回の頻度で更新・確認することが肝要です。

また、身元確認の精度も高める必要があります。通常であれば保険証による確認が可能ですが、急患や訪日外国人など保険証の提示が難しいケースも考えられるでしょう。

その場合、運転免許証やパスポートといった公的な本人確認書類の提示を求め、コピーを保管しておくと、債権保全の観点からも有用でしょう。

2.治療前の明確な説明と同意

歯医者の治療費踏み倒しが発生する背景には、「費用が思ったより高かった」「説明を受けていない」といった患者側の認識ギャップが潜んでいる場合も少なくありません。

そのため、治療開始前における費用・期間・方法の丁寧な説明と、同意書の取得は不可欠です。

特に歯医者の自由診療では、患者さんの金銭的負担が大きくなる分、想定外の請求に対する心理的抵抗が治療費の踏み倒しにつながりやすいため、事前にしっかりと合意形成を図っておくことが、治療費の回収においても極めて重要です。

3.前払い制度や連帯保証人の導入

歯医者の治療費踏み倒しのリスクが高い自由診療や高額治療については、前払い制度の導入も一考の価値があります。

また、患者さんが未成年者や経済的に不安定な立場にある場合には、連帯保証人の署名を求めることも、治療費の踏み倒しリスクの低減につながります。

これらの制度は、法的効力を持つ契約の一環として機能し、万が一の際、督促や法的手続きにおいても強力な支えとなることでしょう。

4.決済方法の手段を増やす

「払えない」のではなく「今すぐには払えない」患者さんは少なくありません。そこで、現金一括に限定せず、クレジットカード、電子マネー、分割払いなど多様な決済手段を整備することは、歯医者での治療費の踏み倒しを回避する効果的な方法となります。

とりわけ近年はキャッシュレス決済へのニーズが高まっており、時代に即した柔軟な制度設計が、患者さんとの信頼構築と債権の確実な回収を両立させる鍵となるでしょう。

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まとめ

歯医者の治療費踏み倒しは、歯科医院経営における深刻な問題です。未払いの原因には患者さんの経済的事情や歯医者側の説明不足があり、迅速な催促や内容証明郵便、専門家への依頼が効果的な回収方法となります。

加えて、前払い制度の導入や、クレジットカード・電子マネーなど多様な決済手段を用意することで、未然に防ぐことも可能です。

歯医者向け予約・患者管理ツール「Apotool&Box」は、日々の予約管理やリマインダーメッセージの送信に加えて、特定の患者さんにメッセージを送ることも可能です。患者さんごとの状況に応じた、柔軟なフォローが行えます。

また窓口会計管理機能「お会計さん」では、前受け⾦の残高や未収⾦の管理も行うことができ、請求漏れや⽀払い漏れのミスを防げます。

併せて「ささっとPay」をご利用いただくと、クレジットカード会計がスムーズに完了し、患者さん側のお会計の手間も軽減できます。

「うちもそろそろ対策を考えたいかも…」と感じた先生、まずはお気軽にご相談ください。

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