インプラントの広告を打つには?オンライン・オフライン広告戦略を基本〜応用まで解説

インプラント治療は自由診療のため、治療費が高額になることが多いです。そのため患者は、治療費や治療期間、医院の信頼性を重視し、医院を比較・検討する傾向があります。
特にインターネット上で情報を検索することが当たり前となった現代においては、オンラインやSNS上で見られる広告が、第一印象として強く影響する可能性があります。
本記事では、インプラント広告の基本から各戦略の特徴、メリット・デメリットを解説します。
目次
インプラント広告に対策が必要な理由
厚生労働省による令和4年の歯科疾患実態調査結果によると、15歳以上の補綴物を装着している者のうち、インプラント装着者はわずか3.2%とされています。なおブリッジは32.9%、義歯は28.8%であり、インプラントを選択する患者ははるかに少ないことがわかります。
これらは言い変えると、歯を喪失し来院した患者に対して、カウンセリング時にインプラント治療を勧めても、そのまま自然と治療へ移行する患者は少ないということです。
理由としては、インプラント治療が自費診療であるため、費用が高額になりやすい点が挙げられます。また日本では、海外のように「歯の審美性が社会的なステータスにつながる」という文化が浸透していません。
そのためインプラントの潜在患者に対して、普段からインプラントのメリット等インプラントに関する情報を提供しておき、治療開始のハードルを下げておく必要があります。
ただインプラント広告を含む医療広告には法的な制限があり、誇大広告や不正確な表現は医療法違反となるリスクもあります。したがってインプラント広告を検討する際は、集患の効果を見定めると同時に、ガイドラインを遵守した広告運用が求められます。
特に近年ではオンライン広告の普及により、広告戦略や対策の不十分さによって、医院の信頼が大きく低下することもあります。こういった背景から、インプラント広告には戦略的かつ継続的な対策が必要です。
インプラント広告の基本戦略
ではインプラント広告の具体的な戦略を見ていきましょう。前提として、インプラント広告の出稿には事前の準備と明確な目的設定が欠かせません。
以下5つの基本戦略を軸に、広告を効果的に展開していくことが重要です。
- インプラント広告による効果・目標を設定する
- ターゲット層を絞る
- 医療広告ガイドラインのチェック
- インプラント広告戦略の実施
- インプラント広告の効果測定を行う
1.インプラント広告による効果・目標を設定する
まずインプラント広告を出す目的を明確にします。
例えば「月◯人の新規インプラント相談予約を獲得する」、「◯月までに地域でインプラントに強い医院として認知されたい」など、具体的な効果・目標を設定します。これにより広告による効果の検証が可能となり、戦略やターゲットの修正、予算の見直しが行いやすくなります。
このときのポイントは、「SMART」の5要素に沿った効果・目標を設定することです。
- S: Specific(具体的な効果・目標である)
- M: Measurable(測定可能な効果・目標である)
- A: Achievable(達成可能な効果・目標である)
- R: Related(経営目標に関連した効果・目標である)
- T: Time-bound(時間的な制約がある効果・目標である)
例えば「インプラントの新規患者を増やす」「現状を改善させる」といった抽象的な目標では、基準が曖昧なため評価が行えません。評価が行えないと、効果的なインプラント広告運用が難しくなり、費用だけがかかってしまう可能性もあります。
2.ターゲット層を絞る
厚生労働省による令和4年の歯科疾患実態調査結果によると、インプラント装着者は50代以上に多いとされています。30〜34歳で1.3%、45〜49歳で0.7%となっていますが、50歳以降は2.9〜5.9%となっています。
この背景としては、インプラント治療にかかる費用の高さ、手術が必要である点、治療期間が長期に渡るという点が挙げられます。
若年層では費用の捻出が難しかったり、仮に費用面は問題なくとも、学業や仕事で通院の時間を取りにくかったりといったことも考えられます。
こういった点から、インプラント広告のターゲット層は全世代ではなく50代以降と絞り、彼らが抱える悩みや不安に寄り添った広告表現にするのが効果的といえます。
さらに地域ごとの人口構成や生活スタイルに合わせた訴求内容にすれば、広告の反応率はより向上するでしょう。
3.医療広告ガイドラインのチェック
インプラント広告は、医療広告ガイドラインの対策も必須です。医療広告ガイドラインとは、厚生労働省が定めている、医療機関向けの広告表現に関するルールがまとめられたものです。
本ガイドライン内では、医療機関が患者に対して誤解を与えたり、治療効果に対して過度な期待を抱かせたりすることのないよう、「誇大広告の禁止」「客観的根拠のある情報提供」などが義務付けられています。
例えば「絶対に治る」「完全無痛」「最先端」「芸能人の〇〇も利用!」等といった表現は、実績に基づく明確な根拠がなければ原則として用いることができません。またビフォー・アフターの写真や、体験談の掲載にも制限があります。
特にインプラント広告のように自由診療の割合が高い治療では、患者が信じ込んだり誤解したりしやすいため、より慎重な表現が求められます。
なおインプラント広告に限らず、医院のホームページやSNS投稿もこのガイドラインの対象となるため、広告の出稿前には十分に確認を行いましょう。
令和6年9月に改正が行われた医療広告ガイドラインは、厚生労働省の医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針から確認することができます。
4.インプラント広告戦略の実施
自由診療であるインプラントは、患者が複数の医院を比較・検討することが多いです。そのため、他院との違いや差別化要素がわかるような広告表現が望ましいです。
またインプラント広告戦略を実施する際には、オンラインとオフラインの両面からアプローチすることが重要です。インプラント広告の戦略や、広告を掲載する媒体によってターゲット層の違いやメリット・デメリットがあるため、複数の媒体の活用を検討しましょう。
オンライン広告
インプラント広告において、オンライン広告は現代の集患戦略において欠かせない手法です。Googleなどの検索エンジンや、YouTube等の動画配信サービスを含むSNS、各種専門サイトを通じて、インターネット上で見込み患者に直接アプローチすることができます。
特にインプラントのような自費の治療においては、患者が自身で情報を検索・判断することが多いです。そのため、オンライン上での広告のイメージや見つけやすさ、信頼できそうな広告かといった点も重視されます。
代表的なオンライン広告の手法とそのメリット・デメリットをご紹介します。
リスティング広告
リスティング広告とは、Googleなどの検索エンジンで特定のキーワードを検索した際に、その検索結果ページの上部や下部に表示されるテキスト広告のことです。
例えば「インプラント 費用」「インプラント 横浜(地域名)」など、インプラント治療を検討しているユーザーが入力するキーワードに連動して、自院の広告を表示させることができます。広告費はクリックされた分だけ課金される形式です。
メリット
- 「今まさに情報を探しているユーザー」をターゲットにピンポイントで広告を届けられる
- 費用の調整がしやすく、規模の小さい医院でも導入しやすい
デメリット
- 人気のキーワードはクリック単価が高騰しやすい
- 競合が多いと表示順位が下がりやすい
SNS広告
InstagramやFacebook、YouTubeといったSNS上に掲載するインプラント広告では、媒体によってユーザー層が異なります。そのため自院のターゲットに合った媒体を選ぶことが重要です。
例えば50代以上の層にはFacebook、30〜40代女性にはInstagramが効果的です。これらはビジュアルの訴求力が高いため、治療の流れを説明した動画や症例写真等と相性が良いです。
メリット
- 写真・動画で視覚的に訴求できる
- ブランドイメージの構築に有効
デメリット
- 興味がない層にも表示されることがある
- 継続的な運用・更新が必要
インプラント専用サイト
医院のホームページとは別に、インプラント専用の情報提供サイトを立ち上げるのも効果的です。インプラント専用サイトを設置することで、「インプラントに力を入れている医院」であることを暗にアピールできます。
インプラント専用サイトでは、インプラント治療にかかる費用や治療の流れ、よくある質問集、症例の紹介など、患者が知りたい情報をわかりやすくまとめておくことが重要です。これにより、初診予約の前から信頼感と安心感を与えておくことができます。
なおインプラント専用サイトを制作しておけば、他の媒体に掲載したインプラント広告の着地点(ランディングページ)として流用することもできます。
メリット
- SEO対策として有効
- 問い合わせまでの導線を作りやすい
デメリット
- 制作・維持・管理コストがかかる
- コンテンツの質が低いと信頼を損ねる
ポータルサイト内の広告
例えばEPARK歯科やドクターズ・ファイルなど、医療系ポータルサイトへの掲載も効果的です。
ポータルサイトにはすでにSEO対策が施されているため、多くの場合検索エンジンで上位に表示されます。そのためこちらで特別な手を打たなくても、自然と多くのアクセスが見込めます。
また「医院が直接患者に広告を出している感」がなく、「第三者による紹介」という形式であるため、医院の信頼や患者の安心感が高まりやすいといえます。
メリット
- SEOに強く、検索エンジンで上位に表示されやすい
- 第三者評価として信頼性が高い
デメリット
- 掲載料が高いことがある
- 他院と一緒に表示されるため差別化要素が必要
オフライン広告
オンライン広告が主流となった現代でも、インプラント治療においてはオフライン広告も効果的な手段です。特に高齢者層やインターネットをあまり利用しない層をターゲットとする場合、地域に根差したオフライン媒体を活用することが重要です。
代表的なオフライン広告の手法とそのメリット・デメリットをご紹介します。
地域限定誌内の広告
例えばSNS広告は一度しか表示されないといったこともありますが、オフライン広告ではそういったことはありません。その地域でのみ配布されているフリーペーパーや雑誌に掲載する広告は、自宅でじっくり読まれる傾向があります。
そのため医院の理念や治療方針、インプラント治療の特徴や流れなどを伝えるのに適しています。ターゲットの地域において人気のある、信頼性の高い紙媒体にインプラント広告を掲載することで、医院のブランドイメージ向上にもつながります。
メリット
- 地域密着の印象を与えやすい
- 長文で医院の特色を丁寧に伝えられる
デメリット
- 広告を掲載するタイミングによっては効果が限定的
- 即効性が低く、効果測定が難しい
チラシ広告
新聞の折込やポスティングを活用したチラシ広告は、医院周辺の住民に対してダイレクトに情報を届けることができます。説明会や無料相談会など、具体的な行動を促す内容と組み合わせることで、集患効果が高まりやすいです。
メリット
- 直接ターゲット患者の手元に届くため、視認性が高い
- 特定エリアに絞った配布が可能
デメリット
- 捨てられてしまうことも多い
- 配布エリアに制限がある
5.インプラント広告の効果測定を行う
インプラント広告戦略を決定し、実際に広告出稿を行なった後は、その効果測定を行うことが不可欠です。「どの媒体がもっとも多くリーチしたか」「どの訴求内容が予約や問い合わせに結びついたのか」等を分析することで、今後の広告戦略の精度が向上します。
オンライン広告では、GoogleアナリティクスやSNS広告管理ツール、ポータルサイトの管理画面などを活用し、アクセス数・クリック数・予約件数・来院数などのデータを確認しましょう。
オフライン広告においても、初診患者が来院した際に、自院を何で知ったか確認することで効果を確認することができます。問診票に「チラシを見て知った」「〇〇(地域限定誌名)を見た」といった項目を設けておくと、情報収集しやすいです。
効果測定を継続的に行い、数値に基づいた改善を重ねることで、費用対効果の高い広告運用が可能になります。自身の感覚や経験ではなく、データを活用した戦略を立てることが重要です。
より効果を高めるインプラント広告戦略
インプラント広告では、他にもさまざまな対策・戦略が挙げられます。インプラント広告の掲載と併用することで、その効果をより高めることができます。
SEO・MEO対策
SEO(検索エンジン最適化)とは、Googleなどの検索エンジンで自院のホームページを上位に表示させるための対策です。
例えば自院が横浜にあるのに、「インプラント 横浜」と検索したときに上位に表示されなければ、患者は自院の存在に気付くことすらできません。
またおそらくほとんどの方は、Google検索を行なったとき、検索結果の上位に表示されているサイトのみ閲覧するでしょう。それで答えが得られなければ下の方に表示されているサイトまで見に行きますが、多くの場合上位3つくらいのサイトで十分な情報が得られます。
検索エンジンでの検索結果は、SEO対策が適切に行われ、Googleに検索結果として最適と判断された順に表示されています。検索結果のトップには広告も表示されるため、SEO対策を施していないサイトはどんどん下にいってしまいます。
SEO対策では、インプラントに関するキーワードだけでなく、専門的でわかりやすいコンテンツや症例の紹介、患者のQ&Aなどをホームページ内に充実させることが効果的です。
それに対してMEO(マップエンジン最適化)は、Googleマップ上での医院情報の視認性を高める対策です。地域密着型のビジネスには極めて重要な戦略といえます。
MEO対策では、Googleビジネスプロフィールの充実、正確なNAP情報(名前・住所・電話番号)の統一、患者からの口コミ収集などが効果的であるとされています。
これらの対策を講じることで、広告を出していない時間帯やタイミングでも、検索エンジン経由で継続的に見込み患者を獲得しやすくなります。
ホームページやオンライン予約システムとの連携
いくら広告で興味を持たれても、その先のホームページが見づらかったり、電話予約のみであったりすると、初診予約や問い合わせにはつながりにくいです。インプラント広告の効果を最大化するためには、予約取得までの動線をわかりやすくすることが重要です。
また患者は多忙で、電車等で移動しながら隙間時間で調べているかもしれません。そのままWeb予約ができれば良いですが、電話が必要となると「電車を降りたらかけよう」「電話は少し手間だな…」となり、そのうちに忘れてしまったり他院へ流れてしまったりします。
そのためLINE予約や24時間対応のWeb予約など、現代の患者ニーズに合わせた予約体制を整えることも必須です。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって有益な情報を継続的に発信することで信頼関係を築き、最終的に来院・受診につなげるマーケティング手法です。
例えばコラム記事や動画等で、「インプラントとブリッジの違い」「インプラントの治療費の相場」「インプラント治療後のメンテナンスが重要な理由」といったテーマを定期的に発信します。
これにより、「インプラントに興味はあるものの踏み出せていない層」の受診のハードルを下げ、少しずつ信頼を構築し、予約につなげることができます。
またこうしたコンテンツはSEO対策としても効果的です。
例えば自院のホームページに、インプラントとブリッジの違いを解説した記事を掲載しておきます。そして患者が検索エンジンで「インプラント ブリッジ 違い」と調べたときに、該当の記事が表示されれば、ホームページ全体のアクセス数や滞在時間も増加します。
インプラント治療という、高額になりやすく専門性の高い治療においては、治療開始前から患者との信頼関係がとても重要です。そういった視点でも、コンテンツマーケティングは効果的な手段であるといえます。
まとめ
インプラント治療は高額になりやすいため、広告の出稿は患者の心理と慎重に向き合いながら進める必要があります。そのためには媒体の選定だけでなく、広告の内容・配信のタイミング・ホームページや他のツールとの連携まですべて一貫して設計しなければなりません。
またインプラント広告を配信して満足するのではなく、効果測定とその結果に沿った改善を継続的に行う必要があります。
インプラント広告の効果を最大化するには、スムーズな予約導線の設計が不可欠です。歯科医院向け予約システム「Apotool&Box for Dentist」なら、Web予約機能により、電話予約にハードルを感じる層も取りこぼすことなく来院につなげることができます。
さらにWeb問診にも対応しているため、予約時に患者情報を事前に取得でき、流入経路の把握や広告効果の測定もスムーズです。ぜひお気軽にお問い合わせください。
Apotool&Box for Dentistの要となるのは、わかりやすい予約管理画面と患者リスト、Web予約機能です。これによりインプラント広告から流入してきた新規患者を追跡しやすく、効果測定もスムーズに行えます。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
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