患者さんとの信頼関係を築く|歯科衛生士に必要なコミュニケーションスキルとは?

患者さんとの信頼関係は、歯科衛生士にとって欠かすことのできない大切な要素です。丁寧なコミュニケーションによって、不安をやわらげ、治療への理解を深めてもらうことができます。
この記事では、歯科衛生士に求められる具体的なコミュニケーションスキルと、その実践ポイントをわかりやすくご紹介します。
目次
ケアだけでは不十分?歯科衛生士に求められるコミュニケーションスキルの重要性

歯科衛生士の役割は、口腔ケアや予防処置だけにとどまりません。患者さんの不安や疑問に寄り添い、しっかりと話を聞き、わかりやすく伝えるためのコミュニケーション能力も求められます。こうしたやり取りの積み重ねが、患者さんの治療への理解を深め、安心してケアを受けられる環境を実現します。
さらに、歯科衛生士が信頼関係を築ければ、継続的な通院や生活習慣の改善にも結びつき、より効果的な予防ケアが期待できます。つまり、技術だけに頼るのではなく、コミュニケーションスキルを磨くことが、歯科衛生士としての質を大きく左右するポイントになるのです。
歯科衛生士に必要なコミュニケーションスキル

歯科衛生士が患者さんと良好な関係を築くためには、専門知識だけでなく高いコミュニケーションスキルが求められます。ここでは、特に重要な3つのスキルについて解説します。
傾聴力
傾聴力とは、患者さんの話をただ聞くだけではなく、その背景にある感情や不安までしっかり受け止める力のことです。
歯科治療では、痛みや音、においなどが原因で、不安や緊張を感じやすい場面も少なくありません。 患者さんが「痛いのが苦手で…」と話しているとき、その言葉の裏には「治療が怖い」「過去に嫌な経験がある」という気持ちや経験が隠れているかもしれません。こうした感情を理解するには、相手の話を最後まで遮らず、うなずきや「そうなんですね」といった相槌で受け止めることが大切です。
表情や姿勢からも安心感を伝えることで、「この人なら任せられる」という歯科衛生士への信頼が生まれます。
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共感力
共感力とは、患者さんの気持ちや状況に寄り添い、その思いを理解しようとする力です。ただ「わかります」と口にするだけではなく、「それは大変でしたね」「不安なお気持ち、よくわかります」といった言葉や態度で、相手の立場に立って考えていることを示します。
例えば、初めて来院した患者さんが緊張している様子なら、「初めての場所って緊張しますよね」と声をかけるだけで、心の距離はぐっと縮まります。共感が伝わると患者さんは安心し、治療への不安が和らぐだけでなく、「この人の話なら聞いてみよう」という前向きな姿勢も生まれるでしょう。
説明力
説明力とは、専門的な治療内容やケアの必要性を、患者さんが理解できる言葉で伝える力です。難しい医療用語や専門的な言い回しは避け、日常の言葉や例えを使って、患者さんがイメージしやすいように説明することがポイントです。
例えば、歯石除去の必要性を説明するとき、「歯の周りにこびりついた汚れが炎症を起こすんです」とだけ伝えるよりも、「排水口のぬめりみたいに、歯の周りにも汚れが固まってしまうんです」と例えるほうが、患者さんには理解しやすくなります。また、説明は一方的に話すのではなく、途中で「ここまで大丈夫ですか?」と確認することも大切です。
患者さんが理解し納得できると、不安は軽減され、治療やセルフケアへの協力も得やすくなります。
歯科衛生士のよくあるコミュニケーションの課題とその対処法

歯科衛生士の仕事では、患者さんとのコミュニケーションで悩んだり、難しさを感じたりする場面も少なくありません。ここでは、よくある課題と具体的な対処法を解説し、日々の現場での対応力アップに役立つヒントをお伝えします。
緊張して言葉が出てこない
初対面や慣れない状況で緊張し、うまく話せないことは誰にでもあります。対処法としては、まず深呼吸をして気持ちを落ち着かせて、簡単な挨拶や自己紹介から始めると良いでしょう。また、あらかじめ話す内容を少し整理しておくと安心感につながります。
緊張は経験とともに徐々に和らぐものです。焦らず、少しずつ慣れていくことが大切です。
患者さんが話してくれない
患者さんが口を閉ざしてしまう場合は、無理に話を引き出そうとせず、まず安心感を与えることが大切です。そのために、優しい表情やゆっくりした話し方で接し、相手のペースに合わせて少しずつ質問を投げかけましょう。さらに、最初は簡単な話題や共通の話題から入ると、徐々に会話が広がりやすくなります。
説明がうまく伝わらない
専門用語が多かったり説明が複雑だったりすると、患者さんには内容が十分に伝わらず、理解が進みにくくなります。そのため、日常的な言葉や身近な例を使って、わかりやすく説明することが大切です。例え話や図を併用すると、理解がさらに深まります。
また、相手の理解度を確認しながら進める「対話型の説明」を心がけることも効果的です。
疑問や不安があればすぐ質問してもらえるよう、安心できる雰囲気作りも忘れずに行いましょう。
高齢の方との会話が噛み合わない
高齢患者さんとの会話は、聴力の低下や認知機能の変化が原因で、噛み合わないことがあります。そのため、話す際はゆっくり・はっきりとした声で、短くわかりやすい言葉を使うことが大切です。
また、質問は一つずつ行い、相手の反応を確認しながら進めましょう。さらに、表情やジェスチャーも積極的に活用すると、理解がより深まります。
歯科衛生士のコミュニケーションスキル向上のポイント

歯科衛生士が、患者さんと信頼関係を築き、効果的なケアを行うために欠かせないコミュニケーションスキル。ここでは、そのスキルを高めるために意識したいポイントを紹介します。
相手の立場になって考える習慣を身につける
コミュニケーションの基本は、相手の気持ちや状況を理解しようとする姿勢です。患者さんの不安や疑問に寄り添い、「自分が同じ立場ならどう感じるか」を意識する習慣をつけることで、言葉遣いや対応が自然と丁寧になります。こうした姿勢こそが、信頼関係を築く第一歩です。
観察力を磨く
コミュニケーションにおいて、言葉だけでなく、患者さんの表情や態度、声のトーンなど、非言語的なサインにも目を向ける観察力は非常に重要です。小さな変化に気づくことで、相手の本当の気持ちや体調の変化を把握でき、より適切な対応が可能になります。日頃から意識して観察力を高める習慣を持ちましょう。
フィードバックを素直に受け入れる
同僚や上司、患者さんからのフィードバックは、自分のコミュニケーションスキルを磨くための貴重な情報源です。指摘や意見に対して防御的にならず、改善点として素直に受け入れることで、より良い対応ができるようになります。こうした姿勢を積み重ねることで、信頼される歯科衛生士として成長できるでしょう。
ロールプレイや振り返りで実践力を高める
実際のコミュニケーションを想定したロールプレイは、スキルアップに非常に効果的です。さまざまなケースを体験することで、柔軟な対応力が身につきます。また、実際の対応後に振り返りを行い、良かった点や改善すべき点を整理する習慣を持つことも、次のステップにつながります。
まとめ
患者さんとの信頼関係構築は、歯科衛生士が質の高いケアを提供するための大切な土台です。
この信頼関係を築くためには、「傾聴力」「共感力」「わかりやすい説明力」といったコミュニケーションスキルを磨くことが欠かせません。
これらのスキルによって患者さんの不安が軽減されれば、それが歯科衛生士への信頼につながります。その結果、患者さんは安心して通院を続けてくれるようになるでしょう。
また、患者さんとの信頼関係を築くうえで、効率的な業務運営や患者フォローは欠かせません。「Apotool & Box for Dentist」は、予約管理から患者フォローまでを一元管理できるクラウドシステムとして、歯科衛生士の負担を軽減し、コミュニケーションに集中できる環境をサポートします。
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