【歯科向け】オンライン請求の義務化はいつから?移行の流れについても解説
近年、医療機関においてオンライン請求の義務化が進められており、歯科分野においても例外ではありません。この記事では、歯科医療機関がオンライン請求の義務化に対応するための情報を提供します。
特に、保険請求のオンライン化の背景、移行に伴う負担、必要な準備、具体的な手続きなどを詳しく解説します。
目次
歯科医療におけるオンライン請求の背景とメリット
保険診療において、審査支払機関へのレセプトの提出は重要な業務の一つです。従来の紙レセプトによる請求は手間がかかり、また人的ミスも発生しやすいものでした。そこで、厚生労働省によりオンライン請求の導入が推進され、その義務化が進められています。
オンライン請求により、迅速かつ正確な保険請求が可能となり、医療機関の業務効率が向上することが期待されています。
そのほかにも、紙レセプトの印刷や郵送にかかる費用が削減されたり、データの一元管理が可能となることで、過去の請求情報の検索や分析が容易になったりとさまざまなメリットが存在します。
オンライン請求義務化の概要
義務化の対象
基本的には、病院、診療所、歯科医院、薬局など、診療報酬請求を行う全ての医療機関が義務化の対象とされています。
導入期限
〜2024年4月
光ディスクや紙レセプトでの新たな請求を行うことができなくなります。この時点から、新規で請求処理を行う場合には、オンライン請求のみが許可されます。
〜2024年9月末
これまで光ディスクや紙レセプトを使用してきた医療機関は、この期限までにオンライン請求に移行する必要があります。
なお、令和5年3月時点での歯科におけるオンライン請求の実施率は約35%※。残りの多くの歯科医院がオンライン請求の実施に向けて対応を迫られているといえます。
※参考:社会保険診療報酬支払基金「請求状況(医療機関数・薬局数ベース) 【令和5年3月診療分】」
例外処置
特定の条件を満たす場合、指定の届出を行うことで紙レセプトの継続使用が認められることがあります。詳細は下記をご確認ください。
参照:厚生労働省「現在、光ディスク等や紙レセプトで請求を行っている医療機関・薬局の皆さまへ」
参照:厚生労働省「2024年度以降の取扱いと必要な届出について」
オンライン請求への移行プロセス
歯科医療機関がオンライン請求に移行するための準備作業として、厚生労働省は以下の4ステップを提示しています。
ステップ1:オフライン請求への対応状況の確認
オンライン請求への移行に伴い、現在使用しているレセプトコンピュータの設定変更の要否と、既存ネットワークの契約状況とオンライン請求用端末の準備状況を確認します。
必要に応じて、システムベンダーやネットワーク回線業者に問い合わせましょう。
ステップ2:事業者へ発注
既存システムに設定の変更が必要な場合には、事業所に設定変更にかかる費用の見積もりをもらいましょう。費用感を把握したら、設定変更の発注を行ってください。
ステップ3:審査支払機関への申請
システム環境の準備が整ったら、審査支払機関へ「オンライン請求利用申請」と「電子証明書発行申請」を行います。
このとき、電子証明書発行申請は請求開始月の前々月20日までとされているため、注意が必要です。また、申請はこちらのポータルサイトより行います。
ステップ4:導入・運用準備
申請が完了すると、オンライン請求の開始に向けた「設定ツール」と、「電子証明書発行通知」を受け取ることになります。
それらの設定、インストールを終えると、無事運用開始となります。
参考:厚生労働省「現在、光ディスク等や紙レセプトで請求を行っている医療機関・薬局の皆さまへ」
オンライン請求にあたっての注意点
オンライン請求への切り替えに伴い、下記のような注意点も存在します。
初期費用がかかる
オンライン請求システムの導入には、例えば機器やソフトウェアの購入、既存システムの設定変更やネット環境の整備に伴う外注費用などが発生します。
従業員への操作レクチャーが必要
新システムの導入に伴い、スタッフが操作方法を習得するためのトレーニングが必要です。全てのスタッフが新しいシステムを効率的に使えるようになるまでには、時間とコストがかかります。
技術トラブルへの対応策が必要
システムの障害やネットワークトラブルが発生した場合には、迅速な対応が求められます。そのため、予めシステムの保守契約を結んでおくとよいでしょう。
また、電子データの取り扱いに関して、情報漏洩や不正アクセスを防ぐためのセキュリティ対策も必要です。
まとめ
歯科医療機関におけるオンライン請求の義務化は、業務効率の向上やコスト削減といった多くのメリットをもたらします。しかし、移行には費用や時間がかかるため、事前の準備が重要です。
厚生労働省や関連機関のサポートを受けながら、適切なシステム導入とスタッフの教育を行い、スムーズな移行を目指しましょう。
オンライン請求への移行にあたっては、一時的に受付スタッフの業務負荷が増えるでしょう。しかし、運用が安定すれば、むしろ正確性や効率性の向上というメリットを得られます。
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