カルテの保存期間は何年間?紙から電子への移行についても分かりやすく解説
歯科医院におけるカルテとは、患者の治療履歴を記録し、高品質な医療を提供するための重要なツールです。しかし、カルテの管理にはデータ保持期間の規定や情報セキュリティといったいくつかの課題が挙げられます。この記事では、カルテの保存期間とそのデジタル化のトレンド、そして電子カルテへの移行について解説します。
目次
カルテの保存期間は?
保存期間は5年間
日本におけるカルテの保存期間は、紙カルテ・電子カルテいずれも医師法および歯科医師法に基づき最低限5年間と定められています。この期間中、医療機関は患者の診療情報を適切に管理・利用する責任を負います。
ただし、保存期間には例外も存在します。例えば、医療訴訟や診療上の重要な事案が発生した場合です。
このようなケースに関連するカルテは、法律で定められた保存期間を超えて保持することが一般的です。それは法的な場面での将来的な必要性に備え、適切な医療情報の提供を保証するためです。
法的背景
厚生労働省の「保険診療の理解のために【医科】(令和5年度)」によると、カルテは「診療経過の記録であると同時に、診療報酬請求の根拠でもある」と定義づけられています。
そのため、カルテは「診療経過を正しく把握し、最適な診療に繋げる」「診療報酬の誤りや不正を防いだり、防止する」役割を果たしているといえます。
また、上記からカルテは診療行為の証拠とみなすことができ、例えば訴訟が発生した場合にも、医療提供者の行為を裏付けるものとなります。
以上のことから、カルテを一定期間保管することには意味があると考えられます。
デジタル化による保存方法への影響
現代は特にクラウドコンピューティングやビッグデータ技術が発展し、電子カルテが浸透してきています。これにより、カルテの保存や管理方法が非常に効率化されているのです。
また、これらの技術はカルテデータの安全性・アクセス性を向上させ、さらにはAI(人工知能)の導入により、カルテデータからの情報抽出や分析が自動化されています。
以上のことから、カルテの保存をデジタル化していく流れは日に日に加速しているといえるでしょう。
紙カルテから電子カルテへ移行するには
紙のカルテを利用されている歯科医院においては、カルテの保存や管理方法を考える際、データ精度や管理の効率化のために電子カルテへの移行を検討されることも多いかと思います。
ここからは、紙カルテを電子化するために押さえておきたいポイントを解説します。
紙カルテと電子カルテの違いとその取り扱い
そもそも紙カルテと電子カルテとでは、保存とアクセスの方法が大きく異なります。紙カルテは物理的なスペースを必要とし、アクセスや検索に時間がかかることが欠点です。
一方、電子カルテは情報をデジタル化し、クイックアクセス、簡単な検索、データの共有が可能になるため、診療効率が大幅に向上します。
ただし、電子カルテの導入には、データのセキュリティ観点において注意しなければなりません。次で詳しく解説します。
電子カルテ保存において満たさなければならない基準
カルテを電子データとして保存するためには、下記3つの点が満たされていなければなりません。
- 真正性の確保
- 見読性の確保
- 保存性の確保
参考:厚生労働省「診療録等の電子媒体による保存に関する解説」
真正性の確保
真正性を確保するには、電子カルテのデータが改ざんされることなく、元の情報が保持されることが非常に重要であるとされています。
デジタル化された診療記録には、改ざん防止技術を含む厳格なセキュリティ対策が施される必要があります。データに対する変更履歴の追跡や、保管する機器・ツールの品質管理を行える機能や環境を整え、データの不正使用や不正アクセス、欠損等を防ぐための措置が講じられている必要があります。
具体的には、電子署名やタイムスタンプの記録は、電子カルテの真正性を保証する方法といえます。
見読性の確保
見読性の確保とは、例えば診療、監査、訴訟など様々な場面において、電子カルテに記録された情報が正確かつ容易に閲覧できることを指します。データが適切なフォーマットで保存されること、そして情報が容易にアクセスできるような形で整理されていることが求められます。様々な端末やシステム間での互換性も重要です。
標準化されたデータフォーマットを活用することや、適切なデータ管理のための運用によって、見聞性を確保する必要があります。
保存性の確保
保存性の確保とは、電子カルテの情報が長期間にわたって確実に保存されることを指します。データが時間の経過と共に劣化しないように、またシステムの故障やデータの損失が発生しても回復できるように、適切なバックアップと冗長性の措置が不可欠です。
データは定期的かつ複数箇所にバックアップを取ることが推奨されます。さらに、システムやデータのセキュリティを維持するために、定期的なセキュリティ更新とパッチの適用が求められます。このような措置によって、電子カルテ内の情報が長期にわたって正確かつ安全に保管されることが保証されます。
電子データへのスキャン方式は主に3つ
紙カルテから電子カルテへと移行するには、紙カルテをデジタルデータに変換する作業から始まります。データ変換のためのスキャンには、主に3つの方式があります。
オートフィード式
数枚の文書を自動で送りながらスキャンする方法として、オートフィード式というスキャン方法があります。高速で大量の文書を処理するのに適しており、効率的な電子化が可能です。
スタンド式
スタンド式を採用するスキャナーは価格が比較的安価なため導入しやすく、単純なスタンドに設置されているのが特徴です。手動でページを送りながらスキャンするため、操作に少々手間がかかってしまいます。
フラットベット式
フラットベット式は、文書を一枚ずつスキャナーのガラス面に置いてスキャンする方法です。精密なスキャンが必要な場合や破損しやすい文書の利用に適していますが、作業に時間がかかるというデメリットがあります。
データ化した紙カルテの処理方法
データ化した後の紙カルテは破棄しても良い
先述した真正性・見読性・保存性といった3つの観点が保証されていることや、厚生労働省の策定しているガイドラインに則っていることを前提に、法的には破棄しても良いことになっています。
しかし、訴訟リスクの管理や、過去の医療情報が後の診療に役立つ可能性があることから、紙カルテの原本を保管しておくケースもあります。
紙カルテの破棄方法
紙カルテを廃棄する方法は、法的に明確な定めがあるわけではありません。しかし、患者の個人情報保護の観点から慎重に取り扱う必要があります。
破棄の方法には、シュレッダーにかける、焼却する、溶解するなどの方法があり、機密文書の処理事業者に委託することが一般的です。
「Apotool&Box」で歯科医療業務効率化へ
最後に、歯科医院の業務効率化におすすめのツール、「Apotool&Box」をご紹介します。
Apotool&Boxは医療業務を一元管理するための革新的なシステムで、このプラットフォームを利用することで、医療機関は患者管理、スケジュール調整、文書管理など、日々の業務を大幅に効率化できます。
具体的には、患者ごとの予約状況、処方履歴、検査結果などの情報を一つのシステム内で瞬時にアクセス可能にし、業務の迅速化を図ります。
Apotool&Boxの導入により、歯科医院は紙ベースの業務から解放され、よりスムーズでエラーの少ない医療サービスの提供が可能になります。限られたリソースを最大限に活用し、高い成果を得るためのサポートが期待できます。
サブカルテや承諾書の管理を簡易化する「Medical Box Note」
「Medical Box Note」は、Apotool&Boxシステムの一環として、特にサブカルテや承諾書などの文書管理を効率化するツールです。このツールを使用することで、医療機関は重要な文書をデジタル化し、簡単にアクセス、更新、共有することができます。
Medical Box Noteを使うことで、文書へのアクセスや更新、共有がスムーズになったり、適切な管理を行うことができます。詳しくは製品ページをご覧いただき、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。
「Medical Box Note」について詳しく知りたい方はこちら
また、Medical Box Noteの概要については以下の動画でわかりやすく解説しています!あわせてご覧ください。
実際にMedical Box Noteを導入している駿河デンタルオフィス様、登坂歯科医院様の事例も公開しています。ぜひ併せてご覧ください。
▼こちらの導入事例も要チェック!
まとめ
紙カルテ・電子カルテは共に、適切な診療や診療報酬の管理、診療行為の証拠を担保するものとして、最低でも5年間の保存期間が定められています。
この保存と管理をより簡単に・効率的に行うためには、紙カルテから電子カルテの移行が効果的です。電子カルテへの移行は、保存期間の遵守、情報のセキュリティ強化、そして診療効率の向上に寄与します。
現存の紙カルテを電子カルテに移行するには、一定の基準を満たすことや、移行のための作業が必要となります。しかし、法律や医療規定に基づく適切な管理が求められる中、最新のデジタル技術を活用することで、より安全かつ効率的な医療サービスの提供が可能となるのです。
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