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【歯科医師のキャリア展望】将来性の高さや多様な選択肢について解説

コラム

歯科医師としてのキャリアは、安定した収入と多様な選択肢が魅力です。将来に向けたキャリアを築く上で、開業や研究職、企業勤務など、豊富なキャリアパスが用意されており、ニーズに合わせたスキルが磨ける職種といえます。

本記事では、歯科医師の将来性やキャリア展望に加え、具体的なキャリアビジョンを解説します。自身のキャリアを飛躍させるための道筋を見つけるのに、ぜひ参考にしてみてください。

歯科医師の将来性は高い!


充実したキャリアや安定した収入、そして将来性を求める方にとって、歯科医師という職業は非常に魅力的といえます。まずは、歯科医師の将来性が高いと考えられる理由を解説します。

将来性が高い理由1:健康維持と疾病予防に欠かせない仕事である

歯科医師の仕事は、虫歯や歯周病の治療のみに留まらず、予防歯科の観点でも患者様の健康をサポートする重要な役割を担っています。

虫歯や歯周病などの口腔疾患は、全身の疾患と関連し、心臓病や糖尿病、呼吸器疾患などのリスク増加につながることが示されています※。歯科医師は口腔内の健康を維持することで、全身の健康状態を支える役割を果たしているといえるでしょう。

※参照:日本臨床歯周病学会「歯周病が全身に及ぼす影響」

また、令和4年度の統計によると、過去1年の間に歯科検診を受診したと回答した人の割合は全体のうち58.0%※と報告されており、日本人の口腔ケアへの関心は決して少なくありません。

これらの背景から、歯科医師は疾病の治療と健康管理の両面で不可欠な仕事であり、この先の将来も、人々に求められる職種といえます。

※参照:厚生労働省・令和4年歯科疾患実態調査結果の概要 

将来性が高い理由2:高齢化が加速し需要の高まりが想定される

高齢化が加速する日本において、歯科医師のキャリアはますます重要性を増しています。

2040年には、日本の高齢化率が35%を超えると推計※されています。この超高齢社会においては、慢性疾患や認知症の増加が予想され、介護の負担が増大する未来が示唆されるでしょう。

※参照:厚生労働省「平成の30年間と、2040年にかけての社会の変容」

その中で、適切な口腔ケアを行うことは高齢者の窒息や誤嚥性肺炎を未然に防ぎ、要介護状態のリスクを下げる効果が期待できます。また、残存歯が少ない高齢者ほどアルツハイマー型認知症になりやすいというデータ※もあり、認知症を予防する上で天然歯の維持は欠かせません。

※参照:日本歯科医師会・「歯数とアルツハイマー型認知症との関連」で日本歯科総合研究機構が論文を発表

さらに、歯科医院への通院が難しい高齢者が増加する中、訪問歯科サービスを提供できる歯科医師はますます市場価値が高まるでしょう。これらの背景から、歯科医師は超高齢社会において必要不可欠な存在であり、将来性のある職種といえます。

訪問歯科診療とは?通院が難しい患者のための口腔ケアの重要性と実施への課題

将来性が高い理由3:キャリアの選択肢が豊富

歯科医師のキャリアには多種多様な選択肢があります。開業して自分のクリニックを経営する道、専門分野に特化して高度な技術を提供する専門医としての道、さらには教育者や研究者として次世代を育成する道など、歯科医師のキャリアは多岐にわたります。

また、訪問歯科診療のニーズが高まる中で、高齢者や介護施設での歯科治療を専門とするキャリアを築くことも可能です。現場での経験を活かし、経営学やマーケティングのスキルを身につけることで、医療法人の理事長や経営者としてのキャリアも開けるでしょう。

このように、歯科医師としてのキャリアをさまざまな分野で応用できることが、将来性の高さを裏付けています。

将来性が高い理由4:安定した収入を得られやすい

歯科医師は、安定した収入を得られる職業として知られています。歯科医療は国民の健康維持に不可欠であり、経済情勢に左右されにくく、一定の収入を確保しやすいのです。

また、歯科医療は治療技術や提供できるサービスの幅と質によって売上が大きく変動します。例えば、インプラントや審美歯科といった自費治療を手がけることで、さらなる収入の増加を見込めるでしょう。

さらに、経営スキルを磨いて効果的なマーケティング戦略を実施することで、自院の収益性を向上させることも可能です。歯科医師としてのキャリアを駆使しつつ、経営面でも工夫を凝らすことで、安定した高収入を実現できるのが歯科医師の大きな魅力です。

将来性が高い理由5:開業が可能な職種である

歯科医師は、自ら開業することでキャリアを大きく飛躍させることができます。独立してクリニックを経営することは、自己の専門技術を最大限に発揮し、収益を直接享受できる魅力的な選択肢です。

開業することで診療方針やサービスの幅を自分の理念に沿って提供できるため、患者様との信頼関係をより深められやすいメリットも挙げられます。

開業はリスクも伴いますが、その分、大きなやりがいや経済的成功が得られるポテンシャルがあるのです。歯科医師は開業によって自身のキャリアを多様に発展させることができる、将来性の高い職種といえます。

歯科医院の開業方法は?必要な手続きや資金、流れを分かりやすく解説

将来性が高い理由6:女性歯科医師の増加

近年、女性歯科医師の増加が顕著であり、歯科業界にも女性の社会進出の波が広がっています。歯科医師の4人に1人は女性※1であり、若い世代ではさらに女性の割合が高く、平成26年度の歯学部入学者数に占める女性比率は41.6%※2です。

※1 参照:令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況
※2 参照:厚生労働省・女性歯科医師の現状

女性歯科医師ならではの視点は、職場環境の改善にも大きく貢献できるでしょう。例えば、育児中や育児経験のある女性歯科医師は自身の経験を活かし、同じような境遇の患者様やお子さんに寄り添った診療が提供しやすいです。

このように、女性特有のポテンシャルを活かした診療は、多様なニーズに対応できる可能性を秘めています。女性歯科医師の増加は、歯科医師全体のキャリアの幅を広げ、安定した将来性と業界の発展に寄与する重要な要因となるでしょう。

歯科医師のキャリアビジョンの具体例


臨床研修修了後、多くの歯科医師が歯科診療所で勤務することが一般的です。そのため、ここでは歯科診療所でのキャリアステップのフローを表を使って具体的に解説します。

歯科医師にとって、将来に向けた明確なビジョンを持つことは非常に重要です。以下を参考に、自身のキャリア対策を行ってみてください。

技術面での習得内容の目安治療技術以外の習得要素
1年目
  • 正しい診断と病態の把握
  • 1歯単位の治療の習得
  • 保険診療の基礎技術の習得
  • 適切なインフォームドコンセントの実施
  • 基本的なコミュニケーション能力の習得
2年目
  • 保険診療全般を習得
  • 治療計画立案の実践
  • カウンセリングスキルを身につける
  • チームをまとめていく
3年目
  • 保険診療全般の習熟
  • 患者毎に合わせた治療の提供
  • マーケティング能力の習得
  • 医院経営の基礎学習
4年目
  • インプラントや矯正などの自費治療の習得・実践
  • 希望の専門分野の学びや実践
  • リーダーシップスキルの実践
  • マネジメントスキルの実践

1年目:基礎技術とコミュニケーションスキルの習得

1年目は、歯科医師としての基礎技術を習得しながら、初歩的なコミュニケーションスキルを身に付けることが目標です。

保険診療の基本的な治療技術を学びつつ、患者様との信頼関係を築くための社会性を身に着けます。この時期は、社会人としてのマナーや医院の理念を理解し、チームの一員として協力する姿勢も重要です。

2年目:治療手技とカウンセリングスキルの向上

2年目は、治療手技の向上とカウンセリングスキルの強化がキャリアの焦点です。この時期には担当する患者様が増え、保険診療の基礎を修了する歯科医師も多いでしょう。自身の治療実績を日々見直し、改善のための対策を重ねることが求められます。

また、マニュアルの作成や新人スタッフの教育など、医院全体のサポート業務にも積極的に関わることで後々のキャリア形成にポジティブな影響を与えるでしょう。

3年目:個別治療とマーケティングスキルの向上

3年目は、一人ひとりの患者様に合わせた治療の提供とマーケティングスキルの向上が目標です。経営やマーケティングの知識を学んで医院の運営に積極的に関与し、キャリアをさらに発展させます。

保険診療全般を習熟し、医院の中心的存在として企画や実践をリードする役割が求められます。

4年目以降:自費治療の習得とリーダーシップの実践

4年目以降は、自費治療の習得とリーダーシップの発揮が重要になってきます。専門分野への学びを深め、自費治療の技術を習得し、医院のリーダーとしてのマネジメント力を発揮できることが理想でしょう。

また、将来の開業や分院長への道を見据えたキャリア計画を立て、経営セミナーや学会への参加を通じて知識を広げていくことも大切です。

歯科医師の主なキャリア展開


次に、歯科医師が選択できる多彩なキャリアパスについて見ていきましょう。

開業・事業引き継ぎ

開業や事業承継は、歯科医師が経営者としてのキャリアを築く重要なステップです。自身の診療所を持つことは理想的なゴールといえますが、開業や事業承継には収入面でのリスクも伴うものです。リスク対策には徹底的な準備と計画が欠かせません。

開業を検討する場合、地域性や競合医院を十分にリサーチし、ニーズに合致した診療体制を築くことがカギとなります。また、事業の引き継ぎを考える場合は、前任者からの手続きや患者様の信頼を得ることが重要です。

開業への意欲があれば、勤務医時代には多くの診療所を経験することが役立ちます。さまざまな病院や診療所での経験は、地域や患者のニーズを理解し、効果的な経営戦略を練る上での貴重な学びとなるでしょう。また、人脈や医療ネットワークを築けるメリットもあります。

勤務医

勤務医は、ワークライフバランスを重視する人には適しているキャリアといえるでしょう。専門性を高めることで、複数の医院で非常勤として働くキャリアも望めます。

勤務医の大きな魅力は、安定した収入が得られ、開業のリスクを取らずに臨床技術や知識の習得に集中できることです。勤務医としてのキャリアを軸にすることを考える場合には、就職先には自らの専門性を伸ばせる環境を重視しましょう。

大学などでの研究職

研究者のキャリアは、専門性を深めて学問の発展に貢献したいと考える歯科医師にとって魅力的な選択肢でしょう。研究や臨床での先端治療の研究・開発を通じて、未来の患者様にも貢献できる素晴らしいキャリアです。

研究職は、国際的な視野や知識とともにマネジメント能力が要求されます。大学の仕事では学術的知識や研究成果が求められるうえ、論文執筆のほかにも教育や指導の側面も含むことが多く、後進の育成にも注力するスキルが必要とされるでしょう。

企業

企業で働く歯科医師は、臨床経験を活かして企業の事業に貢献できます。具体的には、歯科系機材のメーカーや、研究職などでの働き方が考えられます。直接的に患者様と関わることは少ないですが、専門知識を活用し、企業の経営を陰で支えます。

希望の企業で就職したい場合は、企業が求める人材像に合わせて準備を整える対策が重要です。臨床経験が要求される場合は、経験を積んだ後に応募するのが有利でしょう。企業でのキャリアは、将来的な収入面での安定性やキャリアパスの幅広さが魅力的です。

公務員

公務員として、医療や健康に関する行政に携わるキャリアの選択肢も取れます。主な公務員としてのキャリアパスには、以下の2つが挙げられます。

  • 技官
  • 医官

技官は日本の公衆衛生政策を担う重要な役割であり、高度な医療知識とマネジメント能力が求められます。公衆衛生の向上や行政のサポート、教育・研究活動など、多岐にわたる分野で活躍できます。

医官は自衛隊に所属し、部隊の健康管理から歯科診療まで携わる重要な仕事です。患者の治療を行うという点では、一般の歯科医師と大きな違いはありません。

どちらの職種も、歯科医師としての専門知識や技術を日本のために活かせる貴重なキャリアです。

まとめ

歯科医師のキャリアは、幅広い選択肢と安定した収入があり、将来への見通しが立てやすい仕事です。超高齢社会で歯科医師の需要は増加し、多彩なキャリアパスが用意されています。

継続的なスキルアップを目指すためには、専門スキルの向上に加え、経営やマーケティングの知識を身につけることが成功へのカギです。

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