口腔機能低下症を適正に診断、評価するために 〜 なりとみ歯科 成富先生勉強会 ② 〜
日々の診療において、動画を時系列に保存して現在の状態を過去と比較して評価することを重視され、当社のメディカルBOXを活用してくださっている、佐賀県鳥栖市のなりとみ歯科様。
前回に引き続き、院長の成富先生が当社社員向けに開いてくださった、動画活用に関する勉強会の内容について、ご紹介させていただきます。
口腔機能低下症とは
当院では、「口腔機能低下症」の記録や訓練にも動画を活用しています。
「口腔機能低下症」というのは、昨年の4月から健康保険に追加された病症です。追加された要因としては、お口の機能の低下を改善することで要介護状態に陥ることを回避できるのでは…と国が考えたからだと思います。
保険では、65歳以上の方を対象に、咬合圧検査、舌圧検査。咀嚼機能検査、口腔湿潤度検査、発音検査などの項目が追加されました。また、この継続的な管理に、口腔機能管理加算という点数もつけています。
実際にこれらの検査の数値は一つの指標にはなりますが、ここで見逃されているのが呼吸、嚥下の衰えです。舌の機能低下は、呼吸を鼻呼吸から口呼吸へと衰えさせます。
噛み締めによって歯がしみる、虫歯がないのに歯が痛い、肩が凝るなどの症状で来院される方がいらっしゃるのですが、水を飲ませる簡単な動画テストをしてみると、このような症状のある方は、口呼吸である場合が多いんです。口の中で水を貯めるのに、舌の上に乗せられずに、唇をつぐんで貯め込みます。
このような舌の機能の衰えは、嚥下にも影響します。水を飲ませる動画テストでは、舌の位置が嚥下時にどこにあるのかを推測するのにも役立ちますし、さらに、嚥下時の首の姿勢が正常かどうかも判断することができます。頷きながら嚥下する方は舌の機能が落ちてしまっていて、舌だけでは水や食物を食道の入り口まで送り込むことができていないことの証明となります。
患者さん本人に伝える時にも、ただ数値だけでお伝えするよりも、動画で見てもらうと、何かしらの異常があるんだということが理解しやすいようです。また、これらの異常があった場合には訓練を行うのですが、その訓練の成果が出ているかどうかも、動画だと判定が可能です。保険での数値と、メディカルBOXによる動画での説明で、患者さんはしっかりと納得してくれますよ。
口腔機能の訓練に加え、食事と運動の指導を
今回の保険での対象は65歳以上ですが、実際の症状の兆候が見られるのは40代後半からです。
当院では、この口腔機能、歯の本数、咀嚼能力と筋肉との関係を測定するために「InBody」という体組成計を院内に導入しています。希望される方には、65歳以上の方に適応される検査や訓練、そして管理栄養士による食事指導と作業療法士による運動指導を行なって、筋肉量を適正化していこうという「口腔機能外来」というサービスを立ち上げました。
歯が丈夫な人はバランス栄養食を食べることができますが、咀嚼機能不全の人や歯がない人は、どうしても糖質偏重食になってしまうので、タンパク質が減少し、筋肉が落ちてしまうんです。そうすると、足腰が弱り、立てなくなるという悪循環に入っていきます。
咀嚼機能だけを改善しても、食事が変わらないと、体脂肪量だけが増え、筋力低下を避けることができません。口腔機能の訓練に加え、食事指導、運動指導を並行して行うことで、全体のバランスを整えることが可能となります。
口腔機能低下症に熱心な先生は、どう取り組んでいいかまだ試行錯誤中だと思います。このような先生方に適正に診断、評価するためのツールとしてメディカルBOXは活用できると思いますね。
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