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【セミナー企画連動コラム】柔軟な歯科医療チームをつくるための基礎知識

コラム

著者情報

小原 啓子

小原 啓子

代表取締役

広島歯科衛生士専門学校卒業後、 広島県歯科医師会に就職。教育現場での指導や書籍の執筆を通して歯科衛生士の育成に携わる一方、産業能率大学や広島大学大学院で経営学を学び、その知見をもって経営学と歯科学の融合を決意。2007年にデンタルタイアップを設立し、全国各地の歯科医院の変革を支援している。

こんにちは!
今回は、2月5日(水)19:30より開催いたします、
「予約の考え方で歯科医院は確実に変わる!!スタッフや患者さんが集まる歯科医院の秘訣」セミナーの企画と連動して連載コラムをお届けいたします!

第5回目は、デンタルタイアップ株式会社 代表取締役の小原啓子様にご執筆いただきました。
それでは、どうぞお楽しみください。


柔軟な歯科医療チームをつくるための基礎知識

この度は、人生の大きな節目となる、ご開業へのご準備完了おめでとうございます。
激動する社会の中で、大きな決断をされ、新たな試練の道に飛び込む勇気。計り知れない覚悟があることを、私共では理解することができます。
勤務医の時には、悩むこともなかったスタッフとの関係性も、院長という違う立場に立つと、微妙に関係性が変わるのだと感じられることでしょう。
しかしです。これからは一緒に働く機会ができたというご縁を大切に考え、スタッフの方々とも柔軟に対応していくことが求められます。

当コラムが開業されたばかりの先生方、また院内スタッフとの結束力をより高めていきたい先生方のご参考になれば幸いです。

 

働く人がいない時代に一緒に働く意味

その中で、求人を出した時に、反応が鈍いことに驚かれたことでしょう。日本の人口はすでに2011年から減少傾向です。
なにより恐ろしいのは、生産年齢人口が減少し続けるという現象です。
世の中の景気不景気の問題ではなく、本当に働く人がいないのです。近年は、人がいないことでの倒産が増えています。(※1)
厚生労働省は、医療福祉現場で働く人口を2040年段階に現状と同等の940万人台から増加させないというシミュレーションを出しています。
従って、これからも人手不足は続く中で、どのようにスタッフを集め、同志として働けるかを考えなければなりません。

(※1)東京商工リサーチ 2023年倒産件数は9,053件前年度比で約30%増。過去30年で最も高い増加率。

 

スタッフが互いに助け合う関係性

 

歯科業界は女性が多い業界です。実は日本の女性の就業率は、どの年齢も年々上昇しています。
しかし、年齢ごとに働く意味は違いますので、理解して付き合う必要があります。
20歳代の前半は自由がききます。やろうと思えば思う存分仕事ができますが結婚を意識する後半は、プライベートに時間を割くことも多くなります。
30歳代は子育てが生活の中心になりがちです。
40歳代は子供の養育費がいりますので働きたいのですが更年期で体調が不安定です。
50歳代は親の介護で悩み、自由がきくようになった60歳代は、高齢化に伴ういろいろな変化を自覚することになります。
しかしです。昭和40年代と今では、15歳ぐらい若返っているという調査結果もありますので、60歳代でもしっかりと働くことは可能です。
国は、高年齢者雇用安定法改正で 70歳までの就業を努力義務としました。60歳代は普通に働く時代は目前です。

さて、働き方ですが30歳代を超えるとパートの割合が高くなります。
時々しか来ない、短い時間しか働けない人でも仕事ができるような「仕組みづくり」が必須となります。
そうです。「誰でもできる」という仕事の単純化が必要なのです。
自分の仕事は、「質が高いために誰でもできるなど無理」と言われる方がいます。
しかし、日本企業は数々の製品を開発製造するために、仕事の見える化をすすめながら世界の企業と戦っています。
実は、どの業界も同じで、専門性を大切にしながらも標準化(誰でもできる)や平準化(むらなくできる)を進めているのです。

 

国が示す2040年構想

国は2040年での医療・福祉サービス改革プランを示しています。
働く人がいない時代は、これからも続きます。
開業したばかりの先生には、耳が痛いことかもしれませんが、このプランにこれからの経営を軌道に乗せていくためのヒントが隠されています。

Ⅰ AIやロボット、ICTを活用しよう

受付の自動精算機は珍しくなくなり、予約管理もシステム化されてきました。
ストランザさんは、受付のほぼ無人化計画を提案されていますが、私どものお付き合いさせていただいている歯科医院でも、受付がない新規開業のところが出てきています。
決して不可能ではない、この流れは今後も加速していくでしょう。
医療はヒトしかできない部分に特化して、提供されていきます。

Ⅱ シフト制を組んだりシニア層の活躍は必須

常勤で働いていただく時代は終わったと認識し、仕事を単純化してみましょう。
それには、5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)が必須です。
神社仏閣を見るといらないものが一切ありません。いわゆるいらないモノが一切なく清々しい空気感となれば心は豊かに満たされます。
仕事を単純にするということは、モノを減らして一瞬でわかる、動ける仕組みを作るということです。
今後高齢者や障害者の方々の働きが期待されています。
5S活動で職場の単純化が進んだら、マニュアルを作り、育成プランを立てて確実に成長支援していきましょう。人は組織の宝です。

Ⅲ マネジメントシステムの導入

2014年の第6次医療法の改正に合わせて、厚生労働省は、「医療分野の「雇用の質」向上のための勤務環境改善マネジメントシステム導入の手引き(改訂版2018)」を提示しました。
今の医療の考え方は、この考えがもとになっています。
医療現場の職場改善は20年遅れていると言われていますので、他業界の改革がもっと進めば、医療現場が魅力ある職場に映るかどうかは不明です。
労働時間は8時間ですので、休憩1時間として拘束時間は9時間です。
この時間の有効活用をチームとして考える必要がありそうです。

Ⅳ 大規模化・協働化が果たしてできるのか

ここが一番難しいところです。開業したばかりの歯科医院に大型化しなさいと言われても、難しいところです。
しかし、現在地域包括ケアシステムができたことで、地域連携が始まっています。
歯科医院同士が、また違う医療・福祉現場と協力することで、チームとして新しい仕組みをつくることも可能となります。
医療はどんどんデジタル化が進みます。使用する機器やシステム導入の価格も安価ではありません。
開業と同様に、継承やM&Aなど、多種多様な可能性を考え、個々に大きな負担がかからないような取り組みを考えてみるのも一つです。
私共は、マネジメントシステム導入によって、院長の臨む歯科医院づくりを実践しています。
8割の歯科医院は過去最高の数字を更新し続けるほどの成長を遂げています。
それは、歯科医療がエビデンスに則った医療を提供するように、経営学に則った歯科医院経営をすすめているからです。
難しいことではありません。先生方の本気度が試されます。


2月5日(水)19:30からオンラインセミナーで、
「予約の考え方で歯科医院は確実に変わる!!スタッフや患者さんが集まる歯科医院の秘訣」と題して小原啓子様、医療法人社団B.H.T さくら歯科 院長 吉村誠先生にお話していただきます。

 

 

セミナーでは質疑応答の時間も設けておりますので、
ぜひこちらのページより参加申し込みへお進みください。

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