【セミナー企画連動コラム】予約の考え方で歯科医院は確実に変わる!!スタッフや患者さんが集まる歯科医院の秘訣
こんにちは!
今回は、2月5日(水)19:30より開催いたします、
「予約の考え方で歯科医院は確実に変わる!!スタッフや患者さんが集まる歯科医院の秘訣」セミナーの企画と連動して連載コラムをお届けいたします!
第6回目は前回に引き続き、デンタルタイアップ株式会社 代表取締役の小原啓子様にご執筆いただきました。
それでは、どうぞお楽しみください。
目次
予約の考え方で歯科医院は確実に変わる!!
スタッフや患者さんが集まる歯科医院の秘訣
現状を知らないスタッフ
デンタルタイアップに相談に来られる方の課題は主に二つです。
一つはヒト。募集しても来ない、人がすぐに辞めてしまう。
皆さんの仲が悪い、場合によっては、スタッフが院長に対して反対勢力化しているなどの深刻な内容です。
二つ目は、経営の話です。継承やM&Aなどは、組織の成長・進化についての話ですが、お金が回らないとなると厳しい課題となります。
前回書かせていただきましたように、総合的なカイゼンのプロセスは経営学の理論から提案させていただいているのですが、お金の話となると、「院長が語るには抵抗がある」と言われることが珍しくありません。
「うちが厳しい状況とは言いたくない」
「しかし、ボーナスを払おうと思えば、銀行の融資を得る必要がある。場合によっては田畑売らないと出せない・・・」
等の話になります。
組織には、「ヒト・モノ・カネ・情報」という財産がありますが、投資をして初めてお金の循環が始まります。
モノの購入は、開業時点で相当覚悟して投資されましたが、人は人件費率で語られる場合が多いです。
税理士によっては、2割と言われるところもありますが、それはずっと昔の話であって、中央社会保険医療協議会医療経済実態調査によると、個人事業主でおおよそ3割、法人で5割(役員給与も含む)が現在の平均的な人件費率です。
経営者であるならば、「納得できる状態で、給与を支払いたい」というのは当然のことと思います。
患者さん一人の重み
私共では、歯科医院の状況を5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)、計画的実践度やチームワークで組織力調査を、また性格分析、財務諸表等、全てを「視える化」して確認しています。
その上で、皆さんの真意を語っていただき、目指す歯科医院に近づけていくための協議を行っています。
そこまでやらないとだめですか?と言われるのもごもっともです。
もしも、厳しい経営状況であるならば、ちょっとした勇気がでる数字を提示いたしましょう。一人の患者さんの数字の重みです。
1人1回あたりの保険診療費は、社会保険診療報酬支払基金の統計では8,512円(令和6年8月平均)となっています。
1日1人でも患者さんが増えたら8,512円プラスということになります。
これが1か月(21日)だったら178,752円、1年続いたら、2,145,024円売上増です。
たった1人の患者さんを増やすだけでこの現象が起こります。
変革を始めた歯科医院が、「まだ、5S活動で掃除をしっかりやっているにすぎないのに、どうして収入が増えるのか不思議」と、言われることがありますが、まさしく経営は「塵も積もれば山となる」です。
現在は、予防管理で歯科衛生士にユニットを任せている歯科医院も多いはずですから、各ユニット(例:3台)で意識して、1人の患者増の予約を確実に入れてくだされば、年間6 ,435,072円の収入増となります。
しかし、ベテラン歯科衛生士が「私の患者さんが続いたら大変なので、ここの予約を入れないで」等と言おうものなら、数字は上記の反対の現象で下降していきます。
予約の考え方ひとつで歯科医院の明暗を分けることに気付いていただけたでしょうか。
まずは一日何人の患者さんを担当するか
図は午前の予約簿です。
A.一日の労働時間は、労働基準法で定められているように基本8時間です。
私共では、8時間の診療時間を上手に使って「一台ユニットで、一日10人の担当をお願いします」と申し上げています。
B.一人の患者さんは基本45分。
そうすると半日で5人(緑色)の患者さんを診て15分の空き時間(黄色)が入ります。
この空きの時間はどこに入っても大丈夫です。
C.「私は60分で診たいです」となれば30分・45分・60分等、処置内容によってのバリエーションをつけて入れてみてください。
D.短い時間の診療と組み合わせれば30分の自由な時間を作ることも可能です。
実際には、キャンセル率は10%程度ありますので、一日で9人診ている状況となります。
ただし、患者さんとの信頼関係の確立に成功している歯科医院だとキャンセル率を5%程度にまで落とすことに成功しています。
予約の入り方のイメージ
診療が終わった段階で、予約簿を再度見てみてください。
どれぐらいの患者さんをどのように診療したかがわかります。
私どもでは、充足率85%を合格ラインとしています。
それはちょっと忙しいのではないかと思われるかもしれませんが、8時間労働の中で、15%の72分は診療が入っていない状態ですので、疲労困憊するほどではありません。
予約の入れ方のちょっとしたコツ
予約が、雰囲気で「埋まっていたら良し」と思っていませんか。
実際には、15分ぐらいの枠があちこちに散々していても、危機感を持っている方は少ないです。
基本的な予約の入れ方をお伝えしましょう。
- 朝一から予約を入れます。次の患者も続けて入れます。
- なるべく開けずに予約を入れていきます。
- 点線のように中途半端に開いている場合には、治療時間を逆算して予約を入れます。これには診療側から受付に「治療内容とかかる時間の指示」が出ていれば可能です。
- まとまった空白の時間は輝く余裕時間です。この時間に、たとえ患者さんが入らなくても、新人育成やプロジェクトの作業時間として使うことが可能となります。この余裕ある体制が、患者さんには落ち着いた治療をしている良い歯科医院に見えるのです。
何人のスタッフがいれば安定した患者数が診れるのか
経営が厳しいからと、ギリギリのスタッフ数で頑張っているところがあります。
組織が疲弊していきますので、退職に繋がりやすいです。
日本の医療・福祉分野の離職率は平均15%ですから、7~8年で総入替えが起きるスピードです。
従って、いつでも新人育成を行っているのが普通です。
日本歯科衛生士会では一人前になるのに7か月かかると育成プランを示していますので、雇ったからと言って、すぐにユニットを任せることは難しいでしょう。
Dr一人で診療できる時代ではありませんので、各ユニットには診療補助できるスタッフを配置+受付(患者40人までなら1人、それを超えると1.5人、患者60人超えると2人体制)+バックヤードやコンサルタントが必要となります。
ストランザさんが「歯科医院ほぼ無人化計画」を提案されていますが、業務の負担を極限まで下げる考えは時代の流れでもあり、人の労力を下げる提案は、大変価値が高いです。
さて、今いるスタッフの勤務体制で、一か月に最大どれぐらいの患者数を受け入れ可能か、調べたことがありますか。
パート・アルバイトのシフト制が導入され、予約の取り方は結構複雑です。
この数を割り出すことで、歯科医院の未来予測ができるようになります。
私どものお付き合いする歯科医院の8割が、ユニット増、増改築、移転などで発展されているのは、この視える化によって、人への投資への覚悟を決められているからです。
予約簿から未来を予測する
予約簿から、歯科医院がどれほどの成長が可能かは、過去のデータから見ることができます。
- A.現状の視える化
全ての時間に今いるスタッフで、理想的に予約が入れば、何人の患者さんを診ることができるでしょうか。
その数を①に記入します。実際に来られている毎月の患者数平均を②に入れてください。
⑤に平均のキャンセル率を入れてみます。
そうすると、①~⑥までの表が完成します。 - B.現状の視える化グラフ
Aのデータをグラフにしてみましょう。
この歯科医院では、①の予約簿を全て埋めた状況から判断すると、64.7%しか予約が埋まっていないということがわかりました。
85%埋まっていて合格ラインと提案していますので、①の493.8人×85%=419人となります。
②との差の100人増現象は5S活動を基本とした診療体制の整備と改善を計画的に行えば可能です。
日本の保険平均の8512円で計算すると、一か月で851,200円の収入増が見込まれます。
伸びしろがありますので、スタッフ数を増やすことをお勧めします。
最後に
社会状況が目まぐるしく変わる現在において、院長一人で悩む時代は終わりました。
歯科医療は、チームワーク医療です。
歯科医療に携わるプロ集団として、自分達に示された数字を患者さんからの評価として真摯に受けとめ理解すれば、やるべきことは見えてきます。
歯科医院に愛着を持って働いてくれるスタッフは、院長の同志です。
一緒に頑張って参りましょう!!
2月5日(水)19:30からオンラインセミナーで、
「予約の考え方で歯科医院は確実に変わる!!スタッフや患者さんが集まる歯科医院の秘訣」と題して小原啓子様と、医療法人社団B.H.T さくら歯科 院長 吉村誠先生にお話していただきます。
セミナーでは質疑応答の時間も設けておりますので、
ぜひこちらのページより参加申し込みへお進みください。
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