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ブランクのある歯科衛生士が復職するには?必要なスキルや就業時の注意点

コラム

産休や育休、その他さまざまな理由によるブランクを有するものの、歯科衛生士として復職したいと考えている方にとって、医院で求められるスキルや技術を身につけることはとても重要です。

本記事では、ブランク後の復職に必要なスキル・技術や、職場にスムーズになじみ復帰を成功するためのポイントを解説します。雇用する側である歯科医師は、彼女らがよく抱えている悩みを把握することで、より確実なサポートを提供することができるでしょう。

歯科衛生士のブランクに関するよくある悩み

歯科衛生士がブランク後の復職で感じる悩みは、多くの専門職でもよく見られるものです。

  • 採用してもらえるか?
  • 転職先で上手く関係値を構築できるか?
  • 自身の歯科衛生士としての技術は足りているか?
  • 仕事と家庭を上手く両立できるか?

それぞれ詳しく解説します。

採用してもらえるか?

いくら引く手数多の歯科衛生士とはいえ、ブランクがあると「採用してもらえるか」「市場において自分にはどれくらいの価値があるか」等と不安に感じることが多いです。特に歯科業界では技術の進化が激しいため、臨床から離れている期間が長いほどその不安は大きくなります。

こういった歯科衛生士は、最新の技術とその活用に必要なスキルを学ぶと良いでしょう。

コロナ禍以降、オンラインで受講できるセミナーや短期コースは数多く提供されています。セミナーを受講して臨床に通ずる新たな民間資格を取得することで、自身の市場価値を高めることができます。

採用する立場の歯科医師にとっても、そのような意欲的な歯科衛生士を採用できれば、ブランクからの復帰が早く助かるでしょう。

転職先で上手く関係値を構築できるか?

院内ですでにできているコミュニティや、スタッフとのコミュニケーションについて悩むブランク後の歯科衛生士もいます。産休や育休等でのブランクは、現場を1〜3年ほど離れることになるため、人員が入れ替わっていることも少なくありません。

歯科医院で業務をスムーズに進めるためには、チームとして連携・協力することが不可欠です。

ブランク後に復職した歯科衛生士は、院内のミーティングやイベントに積極的に参加することで他のスタッフとの関係を築き、チーム内での自身の存在や価値を再確認することができるでしょう。また、自信を取り戻すことにもつながります。

自身の歯科衛生士としての技術は足りているか?

長期間実務から離れていると、臨床スキルが衰えたのではないかという不安を感じることが大半です。細かい手技を必要とする歯科衛生士は、日頃から臨床で手指を動かし慣れておくことが重要です。希望の医院に採用され、ブランク前の感覚を取り戻しておきたいと思っても、独学でできるのは顎模型を用いた練習くらいでしょう。

そのため、臨床スキルを取り戻す方法を模索する前に、まずは最新の技術や市場で求められていることを確認すると良いでしょう。

こういった情報はインターネットや歯科雑誌の閲覧、学会に参加すればわかるものです。その上で技術やスキルの学び直しをすると効率良く進められます。

仕事と家庭を上手く両立できるか?

ブランクの理由が出産や育児である歯科衛生士であれば、家庭生活とのバランスをどう取るかという点で悩むことが多いでしょう。

復職する上で子どもの世話は誰に任せるか、保育園に預ける場合は空きがあるか、入園のためのさまざまな準備、何かあった際のお迎えは誰が行くか…等、「子どもを他者に預ける」というだけでも悩みは数多くあります。

こういった歯科衛生士は、柔軟な働き方を提示している歯科医院や、子育てのサポート制度が整っている職場を選ぶことをおすすめします。

仕事と育児の両立は、想像以上に身体や精神面の疲労を伴うものです。そのため、自身の思い描いているキャリアプランと多少異なっても、復帰後すぐや子どもが独り立ちするまでの間は、「子どもがいても働きやすそうか」「自身の健康を保てそうか」といった点を重視すると良いでしょう。

歯科衛生士がブランクから復職する際に必要なスキル・技術は?

歯科衛生士がブランクを経て復職する際には、以下のようなスキル・技術に関して準備しておくとスムーズです。

  • コミュニケーションスキルの強化
  • デジタルツールへの理解

コミュニケーションスキルの強化

高いコミュニケーション能力は、スタッフ同士のやり取りを円滑に運び、業務の効率を向上させます。また患者さんと会話する上でも、コミュニケーションスキルは欠かせません。

コミュニケーションスキルの基本となるのは「聞く力」です。相手の話を注意深く聞くことで、その人が求めているものや思いを正確に理解することができます。これは、その後の適切な行動やアドバイスに直結します。その上で、自身が伝えたいことは簡潔かつ正確に、相手が患者さんであれば専門用語を使わずに伝えることが重要です。

伝える際にはボディランゲージや表情といった、非言語的コミュニケーションを意識することで良好な関係の構築につながります。

デジタルツールへの理解

歯科業界ではデジタル化が進んでおり、予約管理やカルテ、口腔内のスキャン、会計まで多くの業務にデジタルツールが参入してきています。

そのため、ブランクから復帰後すぐに新しく導入されたデジタルツールを使うよう指示されたり、使い方を覚えるよう言われたりすることがしばしばあります。

勤務先の医院でどのツールが使用されているかがわからなくとも、歯科デジタル業界にアンテナを張っておいて損はないでしょう。こちらもインターネットや歯科雑誌の閲覧、学会に参加することで情報が容易に得られます。

なお、歯科医師がブランク明けの歯科衛生士も含めた求人を出す際には、応募のハードルが上がらないよう上記を簡易的に記載しておくか、記載せずに面接の際にこういった意欲があるか確認しておくと認識の相違を防げます。

歯科衛生士の転職の現状

ここからは特に、歯科衛生士の採用を検討している歯科医院向けの内容となります。

歯科衛生士の転職市場は現在、多くの動きが見られる活発な状態です。まずは歯科衛生士の就業先とそれぞれの割合を見ながら、最新の求人倍率や医院側が提示すべき条件等を考えてみましょう。

歯科衛生士の就業先

現在の歯科衛生士の転職市場は、その需要の高さから引く手数多の状況にあるといえます。

令和2年度に歯科医療振興財団により行われた衛生行政報告では、就業歯科衛生士142,760人のうち、およそ90%は開業歯科医院・診療所に勤務しているとされています。次に多いのが病院で5%程度、その次は市町村、介護保険施設等、歯科衛生士学校または養成所…と続いています。

就業歯科衛生士:142,760人のうち

勤務先人数(割合)
診療所勤務128,758人(90.5%)
病院勤務7,029人(4.9%)
市町村勤務2,060人(1.4%) 
介護保険施設等に勤務1,258人(0.9%)
歯科衛生士学校または養成所勤務 1,006人(0.7%)
保健所勤務671人(0.5%)
事業所勤務301人(0.2%)
都道府県勤務70人(0.0%)
その他607人(0.4%)

 

歯科衛生士の求人倍率

令和4年に一般社団法人全国歯科衛生士教育協議会により行われた歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告によると、歯科衛生士の求人倍率は22.6倍となっています。調査開始時の平成21年時は10.6倍で、令和時代に入ってから若干減少することはあったものの、基本的に年々右肩上がりで増加傾向にあります。

求人倍率が22.6倍ということは、歯科衛生士一人に対して22.6件(≒医院)の求人があるということです。つまり歯科衛生士は選び放題、まさに引く手数多の状況といえます。

歯科衛生士の退職理由から見る「人気の条件」

日本歯科衛生士会により令和2年3月に行われた歯科衛生士の勤務実態調査報告では、歯科衛生士の退職理由としてもっとも多いのは「出産・育児」「結婚」でした。

退職理由割合
出産・育児12.4%
結婚8.4%
自分の健康6.3%
家庭の事情6.1%
介護・看病4.4%
歯科以外への興味4.3%
経営者との人間関係4.1%
同僚との人間関係2.1%

そのためブランク後も復帰しやすい、歯科衛生士にとって人気の求人条件としていえるのは、以下のようなものだと考えられます。

  • 急な早退にも対応してもらいやすい等、柔軟な働き方ができる
  • 託児所がある、保育士が常駐している等、子育てに関するサポートがある
  • 出産・育児で臨床に全く触れていない期間があっても安心できるような、教育的なサポートが手厚い
  • 院内の人間関係が良好で、何でも相談しやすい雰囲気がある

など

託児所の併設等、医院にとって難しいことも多くあります。しかし自院における歯科衛生士不足を改善し、結果的に売上を上げていくためには、長期的な視点で捉えて選択するべきでしょう。

ブランクのある歯科衛生士を採用する際の注意点

ブランクのある歯科衛生士を採用する際、採用側は以下の点に注意しましょう。

  • 知識・スキルをアップデートさせる機会を与える
  • 適応能力を評価する
  • 長期的な目標を立ててもらう

知識・スキルをアップデートさせる機会を与える

ブランクがある歯科衛生士は、残念ながら最新の臨床知識やスキル・技術から遅れている可能性が高いです。

個人で努力しブランク中もアンテナを張っている歯科衛生士もいますが、実際に臨床に出て手を動かしている人とそうでない人とでは埋められない差があります。そのため、採用後は研修期間やスキル・技術を確認する機会を設け、必要に応じて追加教育を行う必要があります。

適応能力を評価する

歯科衛生士にとって、長期間のブランクからの復帰は大きな変化やストレスを伴います。具体的には起床時間や日中の行動といった小さな生活習慣の変化から、人間関係の変化といった大きなものまでさまざまです。

そのためそういった変化の目まぐるしい変化の中でも、歯科衛生士が新しい職場環境やチームに適応できる人であるかどうかを見極めることが重要です。面接時に垣間見える人間性や、これまでのチームでの活動経験等を参考にすると良いでしょう。

長期的な目標を立ててもらう

ブランクから復帰した歯科衛生士が再び退職してしまうリスクを考慮し、採用時にはその時点での長期的な計画・キャリアプランを立案してもらうことをおすすめします。

これにより採用側は投資した研修や教育、費用が無駄になることを防ぎ、歯科衛生士側も主体的に日々の業務をこなせる可能性が高まります。

「ブランクから復職しない」という歯科衛生士も

令和2年度に歯科医療振興財団により行われた衛生行政報告では、歯科衛生士免許の登録数は298,644件であるのに対し、歯科衛生士として働いているのは142,760人とされています。つまり「歯科衛生士免許を持っているのに歯科衛生士として就業していない人」が半分以上を占めているということです。

先述の令和2年3月に行われた歯科衛生士の勤務実態調査報告にもあった通り、歯科衛生士の退職理由にはさまざまなものがあります。もっとも多い理由として挙げられていた「出産・育児」は、院内の整備や求人条件の変更等、医院側の努力により改善できる部分です。

しかし次に多い「結婚」による引越しや転勤、「自分の健康」、「介護・看病」といった部分は、医院側が努力しても復帰をサポートすることは難しく、歯科衛生士側も「歯科衛生士として働きたくても働けない」といった状況にあるため、「ブランクから復職しない」という歯科衛生士が多くても不思議ではありません。

また都心部では待機児童問題があったり、子どもの預け先が見つからなかったりと、出産・育児を経験した歯科衛生士にとって復職までの道のりは険しいものです。採用側も良い条件を提示するだけでなく、面接にくるまでの背景を忘れてはいけません。

まとめ

歯科医院を経営する上で、デジタルの力を借りる場面は多くあります。復職を目指す歯科衛生士を含めたスタッフにも、これらを理解し適切に活用してもらうことが重要です。これにより効率的かつ効果的に日々の業務を行うことができます。

歯科医院向けの予約管理ツール「Apotool&Box for Dentist」は、歯科医院の業務を効率化することでスタッフの負担も軽減します。ブランク明けの歯科衛生士の指導等、人員が整うまでは人手不足になることもあるでしょう。

歯科衛生士一人ひとりの負担を軽減することでお互いをサポートする余裕が生まれ、ブランク明けの歯科衛生士のサポートにも時間をかけられます。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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