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歯医者の経費はどこまでが範囲?計上できるものと注意点について分かりやすく解説

コラム

歯科医院を経営する上で、あるいは勤務医であっても個人事業主である場合は、経費に関する正しい理解は重要です。どの費用が経費として認められるのか、またその計上方法にはどのような注意が必要なのかを理解することで、節税や手取り額の増加につながります。

本記事では、歯科医師が扱うことの多いさまざまな経費項目と、それぞれの計上における注意点を解説します。

歯医者の経費として計上できる範囲と注意点

歯医者が必要経費として計上できるのは、主に以下のような項目です。

  • 人件費
  • 材料費
  • 消耗品費
  • 接待交際費
  • 旅費交通費
  • 水道光熱費
  • 通信費

人件費:給与など

歯医者を経営している場合、正社員である歯科医師や歯科衛生士・歯科技工士といったスタッフ、パート勤務の歯科助手等、彼女らに支払う給与や賞与、各種手当などは人件費という必要経費として計上することができます。

経費として計上できる範囲

上記のような基本的な人件費に加え、退職するスタッフがいる年は、退職金も経費として計上することができます。

注意点

経費の内容と金額は、明確な契約に基づき市場価値に見合ったものでなければなりません。

例えば日本歯科衛生士会の調査によると、歯科衛生士の平均時給が1,100〜1,700円であるのに対して、歯科衛生士に5,000円といった時給を支払っていると計上できないこともあるということです。確定申告しても、税務調査の際に指摘される可能性があります。

また従業員として家族を雇用している場合は、さらに注意が必要です。法律では原則として、生計を同じくしている者の給与は経費として認められていません。ただ届出を税務署に提出することで、特例として家族への給与も経費として認められることがあります。

なお届出には「(その家族が)医院又は歯科医院の仕事に専ら従事している」という条件があるため、例えば大学生の息子や親戚、他に仕事のある人等は「専ら従事している」とはいえず、人件費を経費として計上することができません。

いずれにせよ、指摘される前にその人件費が適切なものであることを証明できるようにしておくことが重要です。

材料費:歯科材料費など

歯医者を経営している場合、診療に使用する材料は経費として計上することができます。勤務医であっても、個人的に仕入れて使用している材料等は経費として計上することができます。

経費として計上できる範囲

充填材やワイヤー等の治療に使用する材料はもちろん、受付で販売している歯ブラシや歯磨剤等の仕入れにかかった費用も経費として計上することができます。

注意点

注意点は「年度内において実際に使用した分」のみ該当になる、という点です。例えば2024年に購入した材料であっても、未開封のまま使用しなかった場合は、棚卸資産として計上することになります。

そのため材料の購入は必要最小限とし、在庫過剰にならないよう管理しましょう。目安として、一般的に歯医者の売上額に対して、材料費は1割程度に収まるとされています。1割以上計上が為されている場合は、在庫の管理方法を見直すと良いかもしれません。

また歯科技工料も材料費に含まれる、という点も注意が必要です。上記と同じく、歯科技工物も経費として計上できるのはその年度に使った分のみです。

例えば2024/11にクラウン作製を発注し、年内に患者へセットまでできていれば2024年の経費として計上できますが、セットが年明けになった等技工所に預けている分は棚卸資産となります。

いずれにせよ、確定申告等経費清算の時期に膨大な時間を割かなくて済むように、日頃から在庫の整理整頓を心がけ、管理方法をシンプルにしておくと良いでしょう。

消耗品費:器材・文具など

受付で使用する文具の買い足しや、プライヤー等の器材も消耗品費として経費計上することができます。

経費として計上できる範囲

個人事業主の勤務医であっても、業務で使用する文具の購入や買い足し等は、消耗品費として経費計上することができます。

注意点

金額によって消耗品費として計上できるかどうかが異なります。具体的には、10万円未満のものであれば消耗品費として経費清算できますが、10万円以上のものである場合は一括償却資産あるいは固定資産(器具備品)として計上する必要があります。

接待交際費:関係者との会食など

歯医者を経営している場合、スタッフや医院に出入りしているメーカー担当者らとの会食にかかった費用も、接待交際費として経費計上することができます。勤務医も同様です。

経費として計上できる範囲

会食である場合、相手は「事業で関係のある者」であることが条件です。プライベートの友人や家族との食事は必要経費として認められません。

なお自院のスタッフの冠婚葬祭に関してかかった費用も、必要経費として計上することができます。

注意点

贈り物をする際にかかった費用も、接待交際費として計上することができます。贈り先との関係を維持するためであったり、事業を継続するための情報収集のための出費である、といえるからです。

しかし贈り先の住所や氏名が不明である場合、事業に必要な支出であることが証明できないため、経費として計上することができません。

他の経費項目についても同様ですが、「何のための出費であるか」をすぐに答えることができ、それを証明できるようにしておくことが重要です。

旅費交通費:セミナーへの移動費など

業務のための移動、研修、セミナー参加にかかる旅費・交通費も経費として計上することができます。海外で行われる学会に参加した場合も同様です。

経費として計上できる範囲

勤務医であれば、毎日の通勤にかかった費用、セミナー受講のためにかかった旅費等を必要経費として計上することができます。

注意点

セミナー費用自体は移動費ではなく、「研修費」として経費計上しましょう。

移動目的が業務に直結していることを明確に記録し、個人的な旅行と業務に関する旅行は明確に分ける必要があります。

例えば海外の学会に参加する場合、家族も連れて行ったり同時に観光をしたりすることもあるでしょう。こういった場合は業務に直結していないため、観光にかかった費用や家族分の旅費までは、経費として計上することができません。

税務調査が入った際に明確に説明できるよう、学会の日程表等は念のため保管しておくことをおすすめします。

水道光熱費:院内の水道・電気・ガス代など

歯医者を経営している場合、医院が稼働すると必ずかかってくる水道や電気、ガスの使用料も、必要経費として計上することができます。

経費として計上できる範囲

院内で使用した水道光熱費は、基本的に全額経費にできます。

注意点

歯医者が住居も兼ねている場合、医院で使用した分から住居で使用した分を除外しなくてはいけません。確定申告上では「家事按分(かじあんぷん)」と呼ばれます。何割が事業用で、何割が住居用かを算出します。

通信費:院内のiPad・Wi-Fiなど

Wi-Fi等インターネット通信にかかった費用は、通信費として経費計上することができます。

経費として計上できる範囲

歯医者を経営している場合、院内で使用するWi-Fi代、スマホやiPad使用料も通信費として計上できます。

注意点

水道光熱費と同様、プライベート用と兼ねている場合は、家事按分して事業用として算出できた分のみ経費とすることができます。

まとめ

歯医者の正しい経費管理は、経営の基盤となります。経費を適切に計上することで正確に財務状況を把握できるようになり、経営におけるより良い決定を可能にします。

ただ、経営に関するデータを日頃から管理・分析することは、多忙な日々の中で簡単なことではありません。経営分析ツールを利用することで、予約や売上のデータを組み合わせながら経営状態を可視化することができます。

Apotool&Box for DentistのIntelligence機能では、医院のレセコンと連動して自動的にデータを蓄積していきます。そのため分析のためにデータを入力したり計算したりする必要がありません。

その上で年間、月間、自費・保険別、担当者別、治療メニューごとに売上を把握することができ、担当歯科医師・歯科衛生士ごとに表示させることもできます。もちろんそこから患者の単価や稼働率を算出することも可能です。

ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

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