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歯科の新規指導とは?個別指導や監査との違い・返還リスクを防ぐ対策まで紹介

コラム

歯科医院の新規開業において、保険診療の適正な運用は歯科経営の成功の鍵を握ります。

開業から概ね1年以内に実施される新規指導では、カルテ管理や診療報酬請求の適正化が厳しくチェックされ、場合によっては、返還リスクや個別指導に発展する可能性があるため、慎重な対応が必要です。

本記事では、歯科における新規指導の目的とその対策、流れまで解説します。今すぐ知っておくべき重要なポイントを確認していきましょう。

新規指導(新規個別指導)とは?

歯科における新規指導(新規個別指導)とは、新規開業した歯科医院を対象に、地方厚生(支)局や都道府県が開業後6か月から1年以内に実施する個別指導の一つ※です。

新規指導の目的は、保険診療の質を確保し、適正な診療・請求が行われているかを確認することにあります。

新規指導では、カルテの記載内容や診療報酬請求の妥当性が重点的に確認され、指導結果によっては自主返還が求められる可能性も否定できません。

また、指摘事項が改善されない場合には、個別指導や監査へと進む可能性があり、歯科医院の経営に大きな影響を及ぼすこともあります。そのため、新規指導への適切な対策を講じることが重要です。

【新規指導(新規個別指導)のポイント】

  • 対象:開業6か月〜1年以内の歯科医院
  • 目的:保険診療の質の確保と適正な請求の確認
  • 確認内容:カルテの記載、診療報酬請求の妥当性
  • リスク:理由なく拒否すると、個別指導に進む可能性あり

※参照:厚生労働省「保険診療の理解のために」

指導の分類

歯科の保険診療における指導は、対象となる歯科医院の状況や診療内容に応じて複数の種類があり、それぞれの指導には異なる目的やリスクが伴います。

ここでは、各指導の特徴と注意点を整理していきましょう。

指導の種類対象方法主な目的注意点
集団指導新規指定から1年以内の歯科医院。診療報酬改定時、保険医登録時など講義方式保険診療のルールや診療報酬請求の説明欠席してもペナルティ無し
集団的個別指導平均点数が都道府県平均の1.2倍以上の歯科医院集団指導に加え、個別の指摘や指導あり保険請求の適正化正当な理由なく拒否すれば個別指導の対象となる可能性あり
個別指導(都道府県個別指導)高点数の継続、被保険者等からの指摘、過去の指導歴のある歯科医院個別面談保険診療の適正化繰り返し正当な理由なく拒否すると監査対象となる
新規指導(新規個別指導)開業6か月〜1年以内の歯科医院個別面談保険診療の決まりの周知と適正化正当な理由なく拒否すれば個別指導の対象となる可能性あり

 

※参照:令和5年4月 医療指導監査業務等実施要領(指導編)

東京保険医協会

新規指導の流れ

歯科の新規指導の流れ※は、実施通知の送付から始まり、当日の審査・指導、さらには事後の結果通知対応へと至ります。

適切な準備と理解が求められる新規指導の全体像を、各段階ごとに整理しながら大まかに確認していきましょう。

※参照:医療指導監査業務等実施要領(指導編)

1.実施通知の発送と事前準備

  1. 実施通知の発送:指導対象となる保険医療機関等に対して、実施の1か月前までに実施通知が送付される
  2. 事前準備など:保険医療機関等は、当日の指導に必要な資料を準備する。指導対象患者名は、指導日1週間前にFAXか電子メールにて保険医療機関等に送付する

2.新規指導日の当日

歯科新規指導の当日は、以下の手順で進められます。

  1. 出欠確認:出席を求めた者が出席しているか確認
  2. 持参資料の確認と指導手順等の説明:必要なカルテや診療報酬請求に関する資料の確認と、指導の目的や進め方について説明
  3. 指導の実施:事前抽出したレセプトに基づき、診療録及び関係書類を閲覧し、面接懇談形式で行われる
  4. 講評:指導結果の概要を説明し、指導結果を口頭にて説明

3.指導日結果の通知など

歯科新規指導終了後、以下の手順で事後処理を行います。

  • 指導当日のチェックリストの精査を行い、指導結果の決定・通知
  • 改善事項と返還金の確認を行う
  • 指導対象となったレセプトのうち、適正を欠くものは自主返還を求める

新規指導の結果と求められる対応について

新規指導の結果は、4つの観点から総合的に判断されます。ここでは、各判定の基準と求められる対応について解説します。

基本的な考え方とする「4つの観点」

新規指導の判定は「診療の適切性」「保険診療ルールの遵守」「診療報酬請求の根拠」「保険診療に対する理解」の4つの観点※から総合的に判断されます。具体的には以下です。

  1. 診療が医学的、歯科医学的、薬学的に妥当適切に行われているか
  2. 保険診療が健康保険法や療養担当規則をはじめとする保険診療の基本的ルールに則り、適切に行われているか
  3. 『診療報酬の算定方法』等を遵守し、診療報酬の請求の根拠がその都度、診療録等に記録されているか
  4. 保険診療及び診療報酬の請求について理解が得られているか

※参照:医療指導監査業務等実施要領(指導編)

新規指導の結果分類

結果判定について対応について
概ね妥当特筆すべき問題点はない場合特に無し
経過観察適正を欠く部分が認められるが、軽微な問題であり、改善が期待できる場合数カ月の間、提出を求める書類による改善状況を確認。改善が認められない場合は次年度の個別指導の対象となる可能性あり
再指導適正を欠く部分が認められる。再度指導を行わなければ改善が見込めない場合次年度の個別指導の対象となる。状況により患者調査を行う場合もある
要監査保険診療のルールに大きく違反している指導結果を通知することなく、必要に応じ監査に移行する可能性あり

参照:令和5年4月 医療指導監査業務等実施要領(指導編)

新規指導に適切に対処するためのポイント

歯科の新規指導に適切に対処するためには、まず保険診療に関する基本的なルールをしっかりと理解し、遵守することが最も重要です。以下で対処法を確認して、日頃から備えましょう。

※参照:厚生労働省「保険診療の理解のために」

1. 保険診療の基本ルールの遵守

保険医療機関及び保険医療養担当規則(療担規則)などの基本的なルールを理解し、遵守することが求められます。特に、診療録の適切な記載や診療報酬の正確な請求ができているかが重要です。

これにより、新規指導の際に適切に対応でき、カルテの返還を防ぐうえでも有効でしょう。

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2. 診療録の適切な管理

診療録には、診療内容や経過を詳細に記載する必要があります。これにより、診療の妥当性や請求の正当性を証明することができ、個別の指導を受ける際にもスムーズに対応できます。

管理が徹底されていれば、新規指導の際に指摘される可能性が低く、仮に指導を受けても再発防止がしやすくなることでしょう。

3. 最新の情報の把握

歯科診療報酬の算定方法や関連法令は随時改定されるため、常に最新の情報を把握し、適切な診療と請求を行うことが重要です。新規指導に臨む際は、最新の改定内容を理解し、反映させることが求められます。

常に情報をアップデートし、歯科診療報酬の請求が正確であるか再確認しておきましょう。

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まとめ

新規指導は、新たに開業した歯科医院が保険診療を適切に運用するための重要な過程です。特に、保険診療のルール遵守やカルテ管理、診療報酬請求の適正化が求められます。これらを怠ると、個別監査や返還問題に発展しかねません。

新規開業した歯科医院にとって、新規指導は避けて通れない道です。しかし、日々の業務に追われる中で、これらの対策を完璧に行うのは難しいと感じる方もいるでしょう。

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