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歯科のクレームは防げる?原因・対策と最適な対応方法を詳しく解説

コラム

歯科医院に舞い込んでくるクレームは多種多様であり、さまざまな要因から生じます。中には非合理的なものが含まれていることもありますが、クレームは患者さんの満足度を測るためには重要な要素といえます。

歯科医師とスタッフはクレームに積極的に対応し、それを改善の機会として活用する姿勢を持たなければいけません。
本記事では、歯科におけるクレームの種類やその原因、対処法から、患者満足度を高めるためにすべきことまで解説します。

歯科におけるクレームの種類

歯科におけるクレームには、以下のような種類があります。

治療に関するクレーム

「聞いていた治療と違う」「こんな見た目になるはずじゃなかった」といった治療内容に関するクレームもあれば、「治療期間が長すぎる」「治療費を稼ぐため何回も来院させているのか」といった治療期間に関するクレームもあります。後者に関しては、補綴治療や根管治療時などに生じやすいです。

費用に関するクレーム

費用に関するものには「治療費が高い」「最初に聞いていた金額と違う」という治療費に関するクレームが考えられます。治療計画が途中で変更になった際や、治療費が高額になりがちな自費診療で生じやすいクレームです。

来院予約・待ち時間に関するクレーム

患者さんの治療時間が延びたことで、その後の患者さんの待ち時間が長くなることはしばしば発生します。また、診療時間は延びていなくとも急患が入った場合に、予約していた患者さんが「10時予約なのに、実際に案内されたのは10時半だった」などとクレームを述べることがあります。

歯科におけるクレームの原因・対策

クレームが発生した際には、まずは何が原因だったのかを特定しましょう。ここでは歯科においてよくあるクレームとその原因別に、おすすめの対策方法を解説しますので、原因を特定したのちに参考にしてみてください。

治療に関するクレームの原因・対策

原因対策
説明不足患者さんへの説明を詳細な内容にすることを意識し、また説明後には質問がないかどうか確認する
患者さんの理解不足「歯科知識のない患者さんにも伝わる説明」を意識し、専門用語等は使わずにわかりやすい説明を行う
歯科医師・スタッフの技術不足具体的に不足している技術を把握した上で、研修やトレーニングを行なったり患者さんへの対応方法を改めたりする

治療に関するクレームは、特にコミュニケーションを工夫することで改善できることが多くあります。

日々臨床に取り組んでいると、歯科医師やスタッフは無意識に専門用語を使いがちです。しかしそのほとんどは、患者さんにとって理解しにくいものです。そのため「専門用語はできるだけ使わない」ことを前提に、患者さんに伝わりやすい、平易な日本語を使った説明を心がけましょう。

わかりやすい日本語で説明してもらえると、患者さんは理解しやすいだけでなく質問もしやすく感じます。

また説明内容によっては、口頭で説明するよりも図や表にして示した方がはるかに伝わりやすいものもあります。例えば以下のような一覧表です。

 

【補綴物を選択してもらうときに提示する表の例】

名前メリットデメリット料金
オールセラミック・100%セラミックであるため自然で透明感のある色
・変色しにくい
強い力が加わると割れることがある¥100,000
ハイブリッドオールセラミックやジルコニアより安価・セラミックとプラスチックを混ぜたものであるため比較的変色しやすい
・耐久性に劣る
¥50,000
ゴールド耐久性が高い・目立ちやすい
・金属アレルギーのある方は使用できない
¥80,000
メタル(銀歯)保険適用のため安価・目立ちやすい
・金属アレルギーのある方は使用できない
¥3,000

 

【ホワイトニング方法を選択してもらうときに提示する表の例】

ホワイトニングの種類メリットデメリット料金
オフィスホワイトニングすぐに高い効果を感じられる・痛みが出たりしみたりすることがある
・後戻りしやすい
¥50,000
ホームホワイトニング・自宅で好きなときに行える
・効果が長持ちしやすい
効果を感じられるまでに時間がかかる¥30,000
デュアルホワイトニング・すぐに高い効果を感じられる
・効果が長持ちしやすい
比較的高価¥70,000

ほかにも写真も添えるとより患者さんに伝わりやすく、誤解が生じにくいため、しっかり理解してもらった上で治療を始めることができます。コミュニケーションの改善方法として、ぜひご検討ください。

費用に関するクレームの原因・対策

原因対策
説明不足患者さんへの説明を詳細な内容にすることを意識し、また説明後には質問がないかどうか確認する
患者さんの理解不足「歯科知識のない患者さんにも伝わる説明」を意識し、専門用語等は使わずにわかりやすい説明を行う

 

来院予約・待ち時間に関するクレームの原因・対策

原因対策
過密な予約スケジュール・余裕を持った予約枠で取得する
・オンライン診療の実施
急患が多い直接来院するのではなく、あらかじめ電話で連絡するよう周知する
受付業務過多デジタルの活用(予約管理ツール、自動精算機など)

 

ご紹介したとおり、クレームにはさまざまな種類と原因がありますが、すべてに共通してとるべき対応方法・流れは以下の通りです。

  • 内容に関わらずまずは謝罪する
  • 患者さんのクレームを傾聴する
  • 歯科医院側に非があったかと確認・対応
  • 再発防止策を練る
  • 院内のクレーム対応マニュアルを確認・改訂

 

1.内容に関わらずまずは謝罪する

まずは、どちらに非があったかに関わらず謝罪するのが良いでしょう。患者さん側に非があったとしても、「自身の歯科医院に通院していたことで不快な思いをさせてしまった」ということに変わりはないからです。

まずは「不快な思いをさせてしまい申し訳ありません」というように、あえて内容には触れないように謝罪しましょう。

2.患者さんのクレームを傾聴する

謝罪のあと、患者さんの主張を傾聴します。傾聴とは相手の話を注意深く聞き、理解しようとする姿勢のことです。これは単に聴くという行為ではなく、相手の感情や意図を理解し、真摯に向き合おうとする心理的な意味合いも含みます。

傾聴において重要なことは、以下の通りです。

  • 共感的理解:患者さんの立場に立って物事を考え、共感し理解しようとする
  • 無条件の肯定的関心:患者さんの話を否定せず、肯定的な気持ちで関心を持って聞く
  • 自己一致:患者さんの話の内容で不明点があった場合は素直に伝え、患者さんの真意を確認する

 

初めは感情が高ぶり、声を荒げてクレームを訴えていた患者さんも、歯科医師・スタッフの傾聴により「話をしっかり聞いてくれている」「共感してくれている」ということを感じられると、少しずつ落ち着いてくることが多いです。

患者さんの話にわからない点があったら、素直に質問しましょう。「質問するとまた怒らせてしまうかも」とわからないことをそのままにしておくと、かえって揉めたりクレーム対応に時間がかかったりします。

また、患者さんによっては「何とかしてほしい」というよりは、「自分はこんなに不快な思いをした」「それをわかってほしい」という気持ちを、怒りという方法で表現していることもあります。

そのため患者さんの話を傾聴し、気持ちに寄り添ってあげるだけでおおむね解決するクレームもあるのです。

3.歯科医院側に非があったかを確認・対応

クレームの意図が掴めたところで、事実確認をしましょう。

<患者さん側に非があった場合>

  • 患者さんに説明し納得を得る
  • 理解してもらえない場合は第三者に相談する(法的手段も検討)

 

<歯科医院側に非があった場合>

  • 再度謝罪
  • 説明
  • 補償実施の可否とその内容を検討

 

患者さんに理解してもらえずさらにトラブルに発展するなど、法的な手段での解決が必要な場合は弁護士に相談することを検討します。

4.再発防止策を練る

クレームは起きないに越したことはないですが、歯科医院を発展させ患者満足度を向上していく上ではむしろ良い材料となり得ます。

そのため再発防止策を練りつつ、今後の運営に活かすための事例として院内で共有していくことが重要です。

クレームの再発を防止する具体的な対策は、以下の通りです。

  • 徹底的な原因の分析
  • 患者対応・コミュニケーション方法の見直し
  • 院内での事例共有
  • 定期的な評価

 

徹底的な原因の分析

まずはクレームの原因を詳しく分析します。クレームの内容、それに関わったスタッフ、クレームが発生した状況を細かくヒアリング・調査し、原因を特定します。

クレームが初めてではなく複数回生じているのであれば、それらのパターンや共通点を分析するのも効果的です。これにより、潜在的な問題を発見できることがあります。

患者対応・コミュニケーション方法の見直し

先述の通り、患者さんとのコミュニケーションが原因でクレームが生じることも多くあります。

特に治療計画や費用、想定される結果等は、患者さんにネガティブな印象を与えるものであっても明確に説明すべきです。また、それに対して患者さんが自由に意見や不安を述べられるような雰囲気作りも注力すべきポイントでしょう。

院内での事例共有

院内での今後の方針が決まったら、クレームの事例と併せて院内で共有します。クレームにより医院の方針が変更になることもあるため、スタッフ全員への共有は欠かせません。

その上でスタッフ全員から意見を聞き、必要に応じて院内のクレーム対応マニュアルの作成や改訂を行います。クレーム対応に関するスタッフの教育や経営の質を向上させるという点で、定期的に繰り返し行うことが望ましいです。

クレームの内容と今後の対応に悩んだ場合は、専門家を交えた倫理研修の実施やセミナー参加という手もあります。これによりスタッフの倫理意識を高めることができます。

患者満足度を高めるためには

患者さんのなかには、「歯科医院で嫌な対応をされた…でもいつも良くしてもらっているし、少し様子を見てみよう」「クレームを入れたい!でもいつもしっかり話を聞いてくれるから、次回予約時に伝えてみよう」というように、普段からその歯科医院への満足度が高ければクレームに発展しないこともあります。

つまり、歯科におけるクレームを最小限にしていくためには、日頃から患者満足度の向上を意識した取り組みを進めていくことが重要です。

患者満足度を高めるために、多角的なアプローチの例をいくつかご紹介します。

患者さんとのコミュニケーションを強化する

クレーム対応時にも通じますが、日頃から患者さんと適切なコミュニケーションを取ることは患者満足度の向上につながります。

「話をあまり聞いてくれず質問しにくい歯科医院」「不安を伝えにくい雰囲気の歯科医院」よりも、患者さんの不安を先回りして解決してくれる歯科医院や、明確な説明と質問しやすい雰囲気により常に安心できる歯科医院では、後者を目指すべきなのは明らかです。

治療の質を向上させる

最新の設備や技術を積極的に導入したり、継続的に歯科医師やスタッフの知識・技術のアップデートを行なったりすることで、治療の質と患者満足感を高めます。

患者さんからの声を活用する

患者さんにアンケートへの回答や口コミ投稿を依頼し、定期的に患者さんの生の声を得るよう努めましょう。このとき匿名で回答してもらうと、患者さんは面と向かっては言えない意見も言いやすくなります。

収集したフィードバックは必ず院内で共有し、トレーニングや業務改善に役立てます。

まとめ

歯科に対するクレームは、原因を特定し、適切な対応を行うことはもちろん、日頃から患者満足度を意識することで対策できるものです。

医院経営の質を向上させるためのよいきっかけとして捉え、積極的に対処していきましょう。

また、先述の通り、クレームの内容によってはデジタルツールの導入が再発防止策として有効であることも多々あります。

特に患者さんとのコミュニケーションや、来院予約・待ち時間に起因するクレームがその例です。来院から会計までをスムーズにすることで待ち時間が減り、来院に対するストレスが減り、患者満足度につながることも考えられます。

Apotool&Box for Dentistでは、来院時に患者さんが院内のQRコードを読み取るだけで受付が完了します。また診察券アプリには決済システムが搭載されているため、患者さんは受付でスタッフに対応してもらえるのを待つ必要がなく、診療後の決済もスムーズ。「受付の対応が悪い」などといった受付に関するクレームを防ぐことができます。
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その他にもクレーム防止に役立つ機能が多くあるため、ご興味のある方はお問い合わせください。

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