歯科衛生士の採用は難しい?適切な求人・情報掲載で応募を増やす方法
歯科衛生士の採用は、多くの歯科医院が抱える課題です。本記事では、歯科衛生士の採用がなぜ難しいとされるのか、この問題に対してどのように対処していけば良いのかを詳しく解説します。
歯科衛生士の採用が難しいと言われる理由
そもそも、なぜ歯科衛生士の採用は難しいとされているのでしょうか。
歯科衛生士の求人倍率が高いから
日本歯科衛生士会によると、2022年度の歯科衛生士の求人倍率は23.3倍であるとされています。これは歯科衛生士として働こうとしている1人に対して、23.3件の募集があるということです。つまり歯科衛生士不足に悩む歯科医院が多く、歯科衛生士は引く手数多なのです。
しかしこれは言い換えると、歯科衛生士の需要が供給を上回っていることをも意味します。また都市部の方が給与や待遇を含む求人の内容が良いことも多く、地方の歯科医院は歯科衛生士の採用が難しいことがあります。
競合となる歯科医院数が多いから
都市部であっても、一般的な求人情報や給与、待遇を掲載するだけでは魅力に感じてもらえないことがあります。歯科医院の母数が多いため、限られた人材を巡った争いが生じるからです。
これにより、歯科医院は他院よりも魅力的な求人条件を提示しなければならないこともあり、採用コストの上昇にもつながっています。
歯科衛生士のほとんどが女性だから
日本歯科衛生士会の令和2年の報告によると、歯科衛生士のうち99.0%が女性で、男性はわずか0.4%とされています。そのため歯科衛生士は、出産や育児といったライフイベントによりキャリアを中断せざるを得ないことが多々あります。
男性歯科衛生士についてはこちらの記事をご覧ください。
歯科衛生士の離職率が高いから
歯科衛生士が離職を選択するきっかけは出産や育児だけではありません。人間関係や待遇等はもちろんのこと、先述の求人倍率がとても高いことは逆に「この歯科医院を辞めてもすぐにまた採用される」という気持ちに繋がりやすいです。
以上により、歯科衛生士という人材の維持は難しいといえるでしょう。歯科衛生士の離職を防ぐ方法はこちらの記事をご覧ください。
歯科衛生士が転職を考える理由としてよくあるもの
求職者の背景を理解するため、またせっかく採用しても再度転職されてしまうのを防ぐため、歯科衛生士が転職を考える理由としてよく挙げられるものを見てみましょう。
人間関係が良くない
歯科医院での人間関係の問題は、歯科衛生士が職場を離れる理由としてもっとも多いものです。スタッフ間の対立やコミュニケーション不足が医院全体のストレスとなり、結果的に離職につながることがあります。
特に規模の小さい歯科医院では、ちょっとした人間関係のこじれが職場全体の雰囲気に影響を与えます。スタッフ同士のチームワークはもちろん、個を尊重し合う文化の構築も重要です。
待遇が良くない(給与が低い)
医院の給与や待遇が良くないあるいは平均的なレベルである場合、歯科衛生士はより高みを求めて転職を考えることが多いです。特に経験豊富な歯科衛生士だと、自身のスキルに見合った給与・待遇を期待します。
競争が激しい歯科衛生士市場においては、スタッフの離職を防ぐために適切な給与や待遇の設定が欠かせません。
院長と考え方が合わない
職場での意思決定や方針において院長と意見が合わないことも、歯科衛生士が転職を考える大きな理由です。具体的には治療方針や患者へのアプローチ方法、医院の運営スタイル等が考えられます。
経験年数が長く優秀な歯科衛生士であるほど、疑問を感じた際に行動に出やすいです。院長に直接かけ合う者もいれば、何も言わずに静かに退職していく者もいるでしょう。
「スタッフの意見も聞きながら進めていきたい」という場合は、スタッフが意見を出しやすい環境を普段から整えておくことが重要です。
結婚・出産・育児に対する理解が得られない
女性がほとんどである歯科衛生士の職場において、プライベートやライフステージの変化に対する柔軟性と理解が足りていない場合、あっさりと離職につながってしまいます。
特に結婚や出産、育児といったライフイベントに間して、ワークライフバランスを取るためのサポートが不十分な環境では、長期的なキャリアを維持することが難しくなります。これは歯科衛生士に限ったことではありません。
歯科医院側がこれらの個人的なニーズに対して理解を示し、柔軟な対応を提供することがスタッフの定着につながります。
歯科衛生士の採用を上手く進める方法
では、自院に合った質の高い求人を集めるにはどのように進めていけば良いのでしょうか。
女性の歯科衛生士が魅力に感じる待遇・給与にする
女性がほとんどである以上、歯科衛生士というより女性が嬉しい待遇・給与に振り切るのも効果的です。例えば以下のようなものが挙げられます。
競争力のある給与の設定
給与は高ければ良いというものでもありません。採用やその維持が逆に負担となってしまうためです。
同じ地域の他院が求人情報に掲載している給与を調べ、平均的あるいは魅力的な給与を設定します。どうしても給与を上げられない場合は、応募条件を緩和させたり勤務内容を易しくしたりすると良いでしょう。
柔軟な働き方の提案
パートタイム勤務や柔軟性の高いシフト制を導入し、ライフステージの変化に応じやすい働き方を提案します。
歯科業界ではまだまだ珍しいですが、歯科医院によっては歯科衛生士のリモート勤務を許可しているところもあります。リモート勤務が可能であると、出産や育児を控えた歯科衛生士も安心して働けます。
こういった他にはない珍しい労働条件を掲載しておくと、他院との差別化になり応募が集まりやすくなります。
福利厚生の拡充
産休や育休、子育て支援制度など、女性がキャリアと家庭を両立しやすい環境を整えることが重要です。
歯科医院に託児所を併設してスタッフも利用できるようにしたり、保育士を雇って勤務中子どもを見てもらえるようにしたりといった制度は、全国的にはまだ少なく女性にとって魅力的に映ります。
また結婚や妊娠を考えていない歯科衛生士にとってもメリットがあるよう、住宅手当や通勤手当、賞与制度等を整えることも必要です。
歯科衛生士から紹介をもらう
すでに自院で働いてくれているスタッフから、歯科衛生士を紹介してもらうのも効果的な方法です。
すでに働いてくれているスタッフの人柄が良く、信頼できる歯科衛生士であれば、優秀な人材を紹介してくれる可能性が高いでしょう。またすでに働いているスタッフは自院の雰囲気や人間関係等も十分にわかっているため、それに合いそうな歯科衛生士を紹介してくれることが多いです。
その他にも紹介を増やす方法として、次のようなものがあります。
紹介キャンペーンの実施
歯科衛生士が例えば友人を紹介する側は、その紹介により友人との関係性に影響が出る等、何かしらの悪影響を被ることがあります。そのため紹介に意欲的でないスタッフもいるものです。
そこに紹介キャンペーンがあれば、積極的に歯科衛生士を紹介してくれる可能性があります。例えば、すでに働いてくれているスタッフが歯科衛生士を紹介してくれた場合、両者に一定の費用を支払う等といったものです。
ただ「歯科衛生士を紹介してくれたら報酬を支払う」という形では、報酬を目的とした質の低い紹介が為される可能性も否めません。そのため、歯科衛生士を自院に紹介し、その歯科衛生士が採用され、一定期間勤務したら支払うといった形にする医院が多いです。
一部のネットワークを活用
すでに働いてくれている歯科衛生士の出身校やスタディーグループなど、一部のネットワークを活用して求人情報を広める方法もあります。
求人情報は明確に掲載する
明確な求人情報を掲載することは、応募者のハードルを下げるだけでなく、自院に合った歯科衛生士を見つけやすくなります。
例えば具体的な業務内容や求めるスキル・資格といった職務内容を細かく掲載したり、勤務時間や休日、残業の有無といった勤務条件についても明確に掲載しましょう。また給与体系や昇給・賞与の有無、福利厚生といった待遇も応募者は知りたいものです。
その上で応募方法を明確に掲載しておくと、採用プロセスがスムーズに進むでしょう。
歯科衛生士の求人を出すのに効果的な媒体
歯科衛生士の求人を効果的に掲載するためには、まず媒体の適切な選択が重要です。各媒体の特性をご紹介します。
歯科衛生士向け求人・転職サイト
歯科衛生士向けに特化したサイトは、応募者向けにキャリアアップに関する情報等も提供しており、キャリアカウンセリングや履歴書の書き方等のサポートも実施していることが多いです。
そのため効率良く、かつ的確に歯科衛生士とマッチングすることができる可能性が高いです。
求人検索エンジン
求人検索エンジンとは、例えばIndeed等のプラットフォームを指します。
Google等で検索すれば出てくるものであるため、歯科衛生士向けの求人サイトを利用しない層にもアプローチすることができます。
自院のホームページ
自院のホームページがあれば、ホームページ内に応募フォームを設けておくのも効果的です。医院の魅力や働く環境を把握した上で応募してくる歯科衛生士がほとんどであるため、自院に合った質の高い人材が期待できます。
逆に言えば、ホームページは医院の「顔」ともいえるものです。ホームページに掲載されている情報は信憑生が高いと見なされるため、最新の情報に更新しておいたり、自院の雰囲気に合ったデザインにしたりと、日頃から管理をしておくのが望ましいです。
ハローワーク
ハローワークは日本全国に展開している公的な就職支援サービスで、掲載料なしで求人広告を出すことができます。その地域の求職者に直接アプローチできるため、地域に根差した歯科医院やその地域に関わりの深い人材を採用したい場合等に有効です。
まとめ
昨今歯科衛生士の採用は難しいとされ多くの課題がありますが、歯科衛生士のニーズを把握し適切な求人情報を掲載することで優秀な人材を確保することができます。
求職者である歯科衛生士のニーズを把握するには、普段から歯科衛生士と意見交換をし、彼女らの価値観を理解しておく必要があります。経営者である歯科医師と、現場スタッフである歯科衛生士が同じ方向を向いていれば、歯科医院の運営は上手くいくことが多いです。
院内の人間関係や、院長とスタッフの価値観についてはこちらの記事をご覧ください。
医院の業務効率を高め、より多くの歯科衛生士からの応募を得るためにデジタルツールを導入するのも一つの方法です。例えばApotool&Box for Dentistは、受付業務や予約管理、画像やデータ・サブカルテの管理等をすべて一元化でき、歯科衛生士の日常業務も軽減させることができます。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
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