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歯科医師は不足している?その理由と今後の需要・対策について

コラム

日本の歯科業界における歯科医師不足は、近年深刻な問題となっています。超高齢社会の進行や医療技術の進歩に伴い歯科医師の需要は増加し続ける一方で、供給が足りないということが起こり得ます。

本記事では、歯科医師不足の現状と具体的な原因を明らかにしつつ、歯科医師が今後進めていくべきことについて解説します。歯科医師としてのキャリアを築く上で、現在と未来の状況を理解し、適切な対応策を検討していきましょう。

歯科医師不足の現状

令和4年に厚生労働省により行われた調査では、歯科医師の総数は2年前の令和2年に比べて2,176人減少したとされています。なお男女別に見ると、男性歯科医師は2年で2,676人減少していますが、女性歯科医師は2年で500人増加しています。

施設別の推移を見ると、診療所に勤務する歯科医師数は基本的に右肩上がりで増加していますが、病院や教育機関附属の病院に勤務する歯科医師数は40年前からほとんど横ばいで推移しています。

またコデンタルスタッフである歯科技工士も、近年不足が問題視されている職業です。詳しくは下記をご覧ください。

歯科医師が不足している理由

歯科医師不足の現状がわかったところで、その理由を具体的に見ていきましょう。

この問題は歯科医師国家試験の合格率低下、都市部と過疎地の地域格差、後継者不足などさまざまな要因が絡まり合って生じています。

歯科医師国家試験の合格率低下

近年歯科医師国家試験の合格率が低下していることが、歯科医師不足の一因とされています。

厚生労働省の発表によると、平成23年に行われた第104回歯科医師国家試験では合格者数が2,400名でしたが、最新の令和6年に行われた第117回歯科医師国家試験では2,060名でした。

受験者数は年によって上下しているものの、合格者数に関しては全体的に減少傾向と見て取れます。

また男女別の合格率では、毎年女性の方が10%前後高いという結果が出ています。

歯科医師国家試験の合格率低下は、試験の難易度が上昇していることや、教育機関での指導内容が実務に即していない可能性等が考えられます。

これらにより臨床に出ることができる新人歯科医師の数が減少し、結果として歯科医師不足が叫ばれるようになったのかもしれません。

都市部への人材流出

歯科医師は、都市部の歯科医院や医療機関に集中する傾向があります。理由は簡単で、都市部の方が患者の母数が多い上、給与も高く設定されていることがほとんどだからです。

これにより地方や過疎地の歯科医院では歯科医師の確保が難しく、後継者不足につながっていると考えられます。

開業したあるいは代々引き継いできた歯科医院があっても、後継者が見つからなければ閉院を余儀なくされ、地域の歯科医療に支障が出ることもあります。

歯科医師の高齢化

日本社会全体と同じく、歯科医師も高齢化が進んでいます。厚生労働省の報告によると、歯科医師の平均年齢は平成24年時点で50〜59歳がもっとも多い層となっています。

これは、定年により臨床を離れる歯科医師が増えやすい状況であるといえるでしょう。

また後継者の問題も生じてくるため、残された若年層の歯科医師あるいは高齢の歯科医師の業務負担が増加したり、それにより歯科医師自身が治療に集中できなかったり、さらに臨床離れを加速する要因となり得ます。

開業後の後継者不足

日本歯科医師会により令和2年に発表されたデータでは、歯科医院の管理者のうち「将来の継承の予定が不明」あるいは「将来の継承の予定がない」と答えた者は全体の9割を占めました。

ここでいう「歯科医師の管理者」は50歳代と60歳代が多く、合わせて全体の66.3%を占めています。決して若い世代に対して行われた調査ではありません。

つまり近い将来に継承が迫っているにも関わらず、ほとんどの管理者が継承の予定が立っていないことがわかります。

これは歯科医院の閉院にもつながります。特に働き口の限られる地方や過疎地では、歯科医師になること自体を諦める人もいるかもしれません。

歯科医師の今後と需要・対策

歯科医師不足が懸念される中、歯科医師の今後の需要や不足に対する対策等、変化に対応するための戦略が求められています。

超高齢社会の進行に伴い歯科医療の需要が増す一方で、働き方や専門分野へ投資する必要性も浮き彫りになっています。

高齢社会進行による需要増加:訪問歯科を行う

日本は超高齢社会とされており、これは今後さらに進行していくと考えられます。

高齢者は口腔内に問題を抱えていることが多く、かつ全身的な疾患や歩行困難等により自身での通院が難しいことも往々にあります。これにより、歯科医師やスタッフが自宅や介護施設に出向いて診療を行う訪問歯科の需要はさらに増加していくでしょう。

なお厚生労働省による報告では、高齢者の自宅に出向いて訪問診療を行う医療機関は平成20年時点で全体の12.1%だったのに対し、平成29年時には14.6%に微増していることがわかっています。

訪問診療では、在宅で行えるケアを提供することで患者のQOLを向上させると同時に、歯科医師にとっても新たな診療や収益を得る機会となります。

訪問診療は院内での診療と比較して準備や制限も多いですが、今後も加速する超高齢社会に対応するためには視野に入れていく必要があるでしょう。

高い技術が求められる:専門分野を磨く・増設する

少ない人員で上手く経営を進めていくには、矯正歯科や審美歯科、口腔外科といった特定の専門分野に絞って経営することも重要です。

これにより広告やマーケティングも行いやすくなり、集患のしやすさから増収につながります

この方向性は、歯科医師不足の傾向に関わらず、歯科業界で生き残る方法として有効なため、専門性を磨いておいて損はないでしょう。

また専門性の高い歯科医師が増加したとしても、すべての診療を広く浅く続けるよりは差別化がしやすいと考えられます。

歯科医師の将来性について、詳しくは下記をご覧ください。

まとめ

歯科医師不足は、地域による偏在や歯科医師の高齢化等、複数の要因が絡み合っています。

しかし、デジタル技術の進化により歯科医療の現場は大きく変わりつつあります。

医院のDX化を進めることで、業務の効率化や患者とのコミュニケーションの改善が期待でき、これにより歯科医師の負担軽減や新たな患者層の獲得が可能となります。


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